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時には「モンスタークレーマー」と対峙することも…

 皆さんもご承知のように「税金ドロボー」と揶揄されるなど、いつの時代も公務員は世間から批判の対象です。そして、実際に役所に、モンスタークレーマーが訪れ、長時間にわたって職員に文句を言い続けます。また、施設建設などの住民説明会では、心ない言葉を浴びせられることもあります。

モンスタークレーマーの対応に追われることも…。写真はイメージです ©getty

 人気第1位の地方公務員、特に市区町村である基礎自治体は住民に最も身近な行政ですので、そうした住民から逃れることはできません。そのため、そうしたクレーム対応のせいでメンタルを壊してしまい、休職に追い込まれる職員は少なくないのです。地方公務員である以上、住民対応を一度も経験しない公務員はいないでしょう。

 また、公務員も組織人の一人ですから、様々な組織のルールや制約に縛られることになります。民間企業と同様に、職場の人間関係に悩んだり、足の引っ張り合いがあったりしますし、公務員特有のお役所仕事で、疑問に思うこともあります。そうしたことが嫌になって退職してしまう人もいるくらいです。

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 皆さんは、こうした実態を知っても、公務員を志望するでしょうか。

 ただ、私自身の経験から言えば、「公務員になって良かった」と今でも思っています。しかし、それは公務員が、先に挙げた「安定している」「休日や福利厚生が充実している」「社会的貢献度が高い」だけのバラ色の世界だからではありません。

 私も激しい住民との対立を経験してきましたが、それを乗り越えた時に、住民と理解し合えた瞬間があったからです。住民と公務員が「何とか、このまちを良くしたい」という思いで、口角泡を飛ばして議論を行い、時にぶつかり合い、時に冷え切った関係に陥ったとしても、その先に「お互いがわかり合えた」という貴重な体験ができたからです。そうしたことが、まさに公務員としてのやりがいだったりするのです。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。