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 その後、2021年3月に「小沢克年を救う会」の募金は無事に目標額を達成し、小沢さんは本格的に海外での臓器移植の道を検討しはじめた。「難病患者支援の会」以外の団体の話も聞いたが、そこでは明らかに「うさんくさい」という印象を持ったという。

「新宿の雑居ビルに入る団体では初老の男性に『ウチはメキシコでやります。生体移植だから、持ちがいいんですよ』と言われました。素人ながらに『生体って違法じゃないんですか?』と聞いたら、『違います』と断言していました。メキシコの教会に寄付をして、そこの信者が臓器を提供する流れだと言っていました。違法ではないかもしれないけど、実質的には臓器売買に近い流れだと思います。死体からの移植と違って、ドナーと2人で手術室に入って、医師がドナーから摘出した腎臓を洗浄して私の身体に埋め込み、最短で18分で終わると言っていました」

海外での腎臓移植手術の資金は多くの人の善意で集めることができた

 だが小沢さんが「手術の経緯と収支は募金してくれた人々に報告するつもりだ」と伝えると、男が小沢さんに急激に興味を失っていくのがわかったという。結局、話は立ち消えとなった。

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「“募金詐欺師”だったの?」

 菊池容疑者の「難病患者支援の会」とも並行して手術の相談をしていたものの、一向に手術の目途がたたなかった。当時大学生だった息子が友人から「お父さん、いつ手術するの? “募金詐欺師”だったの?」と非難を受けたこともあり、小沢さんは焦りを感じ始めていた。

 急性腎不全の診断を受けてから、状況が進展しないまま3年が経とうとしていた2021年10月23日、小沢さんのFacebookに1通のメッセージが届いた。送り主は日本人の男性医師だという。小沢さんがラグビーのコーチをしていた大学の副学長から紹介された、と男性医師は名乗ったという。

医師を名乗る日本人男性から届いたFacebookのメッセージ

《もしまだ移植されておられないようでしたら、私の方で安心かつ安全な腎移植が受けられるように手配できますのでご相談頂ければ幸いです。よろしくお願い致します》