これが21世紀の軍隊のやることであろうか? かつての超大国の軍隊の末路なのであろうか? 世界から恐れられたロシア軍の正体なのであろうか?
2023年1月20日、不肖・宮嶋、ウクライナ第2の都市ハルキウより南に約90km離れたバラクリヤ市の郊外に立っていた。ここは、つい3カ月前までウクライナ南東部から侵攻してきたロシア軍の最前線基地があった場所である。それがいまや基地の面影はなく、ゴミ溜めのごとくなのである。
ガレキで埋め尽くされたロシア軍の最前線基地跡
舗装もされていない森を切り拓いただけの数ヘクタールの平地はガレキで埋め尽くされ、倒壊した建物の間で、大破した大型バスや装甲車両がひっくり返った光景が広がっていた。日本人は思い起こしたくもない、12年前の東日本大震災発生直後の津波被災地のようであった。さらにロシア軍撤退直後は逃げ遅れたロシア兵の死体までのこされていた。
この場所まで案内してくれたのは、ハルキウでウクライナ内外のジャーナリストに情報提供したり、記者会見やイベントの企画などを担当するハルキウ・メディアハブから紹介されたビタリーと名乗る20代のニィちゃんであった。彼によると、ここはもともと長距離トラックなどが集結する物流センターだったという。そこが約1000人の大隊規模のロシア軍将兵のための前線基地として接収されたのである。
敷地の入口には、かつてここで働いていたとみられる男が3人、トレーラーハウスの前で焚き火を囲んでたむろしていた。中に入って写真を撮りたい旨を告げると、男のひとりがアゴをしゃくった。その先には、もはや見慣れたRPG7ロケット砲の実弾が転がっていた。
「地雷とブービートラップには注意してくれよ」とだけ男は言って、再び暖をとり始める。要は勝手にせえっちゅうことであった。