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詩織さんを中傷するビラが、自宅近くの壁や近所の家の郵便受けに

猪野憲一さん:
このあたりにずーっと、選挙のビラみたいような形で貼ってあったんですね。詩織の電話番号とか顔写真。いかにも犯罪者を捜すような、「この顔にピンときたら警察にお知らせください」みたいな書き方。

「この顔にピンときたら警察にお知らせください、みたいな書き方」

詩織さんを中傷する内容が書かれたビラが自宅近くの壁に貼られ、近所の家の郵便受けにもばらまかれていたという。

手分けしてビラを回収したという

取材班:
(両親)2人で回収されたんですか?

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猪野憲一さん:
2人ですよ、手分けして。私が剥がしたり、女房は各家庭を回って回収したり。

警察は「完全な逃げ腰だった」 事件を機に法規制

エスカレートする嫌がらせに、猪野さん家族は警察へ相談にも行ったという。ところが…。

エスカレートする嫌がらせ 猪野さん家族は警察へ相談に行ったが…

猪野憲一さん:
「男と女の痴話ゲンカに警察は入らないよ。民事不介入だよ」って。初めから、もう完全な逃げ腰だったのは確かですね。

警察は聞く耳を持たず、その約4カ月後に事件が起きた

助けを求めても、警察は聞く耳を持たなかったという。そして、その約4カ月後に事件が起きた。

事件発生の一報を会社で連絡を受けたという憲一さん。

憲一さんは、事件発生の一報を会社で受けたという
 

猪野憲一さん:
人を殺すっていうことっていうのは、ちょっと想像してなかったんで。最後には警察が動いてくれるんじゃないか、という期待感はありましたね。

 

当時、連日マスコミに報じられ、警察が対応を怠ったことなどが問題視されるなど、大きな社会問題に。それをきっかけにストーカー規制法が成立し、その年に施行された。

その後もストーカーによる被害は後を絶たず、3度に渡り法改正

しかし、その後もストーカーによる被害は後を絶たず、3度に渡って法改正が行われてきた。

それでも起きてしまった博多のストーカー殺人事件。一体どうすれば、ストーカー犯罪を押さえ込むことができるのか…。

「現行法では限界」専門家が警鐘 遺族は厳刑訴え

ストーカー対策に詳しい専門家は、現在の規制法では限界があると話す。

現在の規制法では限界があると話す
「(加害者は)不安や怯えを強めていくんです。そして過激な攻撃とか、こういう犯罪に及んでしまう」

立命館大学 廣井亮一教授:
禁止命令などの法的な対応で相手(被害者)との関係を完全に切られると、(加害者は)不安やおびえを強めていくんです。そして過激な攻撃とか、こういう犯罪に及んでしまう。したがって、法的な対応をしたら、それと同時にストーカー(加害者)の不安やおびえを受け止めて、ストーカーをケアするという加害者臨床的な関わりが求められると思います。