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 その後、無事にデビューを果たすも、踊りや歌のレッスンを受けたことがなかった彼は、最初はステージ上でもドギマギしている様子が目立ったという。瑠奈さんはもはや母親目線で「今日はミスなく踊りきれるかな……」と心配したり、チェキの時間に一緒にダンスの練習をしてあげた時期もあったそうだ。

「当時は大学に通いつつ、貯金とカフェのアルバイトで稼いだお金で、毎週末にライブに行くくらいだったんです。私の推しは運営事務所が小規模だったからライブは1回1000円ほどで、チェキに数千円かけたとしても無理なく通えていたんです」

 だが、3カ月もすると彼の人気はじわじわと上昇。ファンが増えるにつれ、瑠奈さんの思いはヒートアップしていった。

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「1枚1000円のチェキ券では1分しか話せないけど、大金をはたいて何十枚も買い占めれば、それだけほかの同担(同じメンバーを推しているファンのこと)のチェキタイムは短くなり、最終的には金を多く費やした人がメンバーを独占できる仕組み。それで私は最低でも月に50万は貢ぐようになり、最大3時間半くらい、彼を独り占めしたこともあります」

誕生月に使った金額は200万円…競争を加熱させる仕組み

 ほかにも、ファンの貢ぎ競争を過熱させる仕組みがあるという。ライブに参加したり、チェキ券を1000円分買うごとに1Pずつスタンプカードに加算されていき、一定数まで貯まると特典がつくというものだ。

 運営事務所によって特典内容に差はあるが、瑠奈さんが通っているメン地下だと、300P(30万円)で「推しからの手紙」、1000P(100万円)で「リムジン」、1500P(150万円)で「ディズニー」といったデート特典があり、さらに大金をはたいて推しとの旅行を叶えたファンもいるという。

「とくに、1年のなかでお金をかけるのはバースデーのとき。一昨年はアルバイト生活であまりお金がなかったけど、彼がぼそっと『毎日顔がみたいな』って言ってくれたんです。営業かもとは思ったけど、いつも頑張っている彼のために、誕生月くらいは毎日ライブにいってあげようと決めて、大学も1カ月間休学しました。

 ただ、やっぱりお金が足りないから、彼のためにと腹をくくって、初めてパパ活で大人の交渉もはじめて、その年のバースデー月に使った金額は100万円までいきました。