独立行政法人国立病院機構(NHO)に所属する「京都医療センター」において、コロナ病棟で看護師の「一人夜勤」が行われ、上司から病院の管理日誌に記録しないように指示されていたことが「週刊文春」の取材でわかった。同病院の現役看護師と元看護師が証言した。
NHOを巡っては、傘下の多くの病院で労働基準法に違反する看護師の“ブラック労働”や大量退職が相次いでいることを「週刊文春」が報じると、2月27日の時点で看護師138人から告発が寄せられた。
その中でも深刻なのは、患者の命に関わる“危機”が進行していることだ。
「急変患者が2人出たらもう終わり」危険な一人夜勤の実態
京都医療センターの現役看護師が語る。
「コロナ病棟は本来、看護師2人で夜勤をするはずですが、一人をよその病棟に応援に出してしまい、私一人で病棟を看ていました。10人とか患者がいるのに、それを一人にまかせる。別の入院病棟でも、15人程度を一人夜勤で看ることがあると聞いています。一人夜勤なんて、急変患者が2人出たらもう終わりですから、急性期病院ではまずやらないし、看護師の人員配置基準にも反します。しかし、危険だと上司に訴えても変わりません。それどころか『病棟に一人残して応援に行くときは管理日誌に記録しないように』と隠蔽の指示を受けていました」
同病院の元看護師もこう打ち明ける。
「コロナ病棟では他の病棟と比べて患者数が少ないので、他病棟に応援に行くことが常態化しています。コロナの防護服を着ていると、患者さんの異常を知らせるモニターの音も聞こえにくい。2人いれば片方が確認しに行けますが、一人だと無理。急変のモニターに反応できる人間がおらず、取り返しのつかない事態に及ぶ可能性がありました。患者が急変したときに、ナースステーションから全館につながるPHSで他の病棟の応援を呼ぶこともできますが、そのナースステーションにまず誰もいませんから、応援を呼ぶこともできません。危険だと上司に伝えても、『患者8人でしょ。そんなん一人で看れるやん。他の病棟何人看てるかわかってるん?』などと言われて聞き入れてもらえませんでした」