「OK牧場!」など数々の名フレーズでお茶の間を楽しませて、個性派俳優としても数々の作品に出演した元ボクシング世界チャンピオンのガッツ石松。

 近年はテレビでその姿を見る機会が少なくなってきたが、73歳となった今、何を考えるのか。スピルバーグ作品への出演、そして現在のテレビへの思い。前編のボクサー編に続き、後編では芸能人としてのガッツ石松に迫った。

「見る人が見れば本物ってのはわかる」

――ガッツさんは、現役の世界チャンピオンの時に俳優デビューをしています。世界チャンピオンで俳優をしている人はガッツさん以外にもいたんですか。

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ガッツ 世界チャンピオンで俳優していたのは当時、私だけだったね。1975年には高倉健さん、菅原文太さんと一緒に映画「神戸国際ギャング」に出てね。他のテレビ局も「ガッツ石松を呼んでいいんだ」となって、「うわさのチャンネル」であったり、どんどん呼ばれていったよ。

――ボクサー引退後は芸能界での活躍が加速しますが、バラエティー番組ではバカにするような扱いも多かったように思います。そこに対する怒りはなかったんですか。

ガッツ こっちはバカじゃないの。だからバカにするやつはそうさせとけばいいんですよ。

ガッツ石松さん

――ガッツ語録と言われる面白いコメントもわざとやっていた面もあるんでしょうか。

ガッツ そう。そういうのがわかっているから高倉健さん、倉本聰さん、橋田壽賀子さんであったり、テレビのいろんなプロデューサーも声をかけてくれたんじゃないの。

 だって、世界チャンピオンになった人間よ。それも5度も防衛している。「うわさのチャンネル」で、「僕さあ、ボクサーなの」なんて言っていても、見る人が見れば本物ってのはわかるわけ。

「うるせえこの野郎、お前らとは一緒じゃねえよ」

――当時のインタビューなどを見ると、アイドルに非常に怒ってらっしゃいましたが、何か嫌な目にあったんですか。

ガッツ あいつらは昨日、今日でなっている人間だから番組でバカなことをやってると、本当に私をバカだと思っちゃうわけ。だから「うるせえこの野郎、お前らとは一緒じゃねえよ」と思ってんだけど、向こうは一緒だと思ってんだよ。こっちはライト級のアジアで初めての世界チャンピオンだよ。

――当時ビートたけしさんが「オールナイトニッポン」でガッツさんをネタにしていて、そのことで本人に怒ったそうですね。

ガッツ 最初の頃はビートたけしさんがラジオで私のキャラをやってね。でもわかる人にはわかると、それに対して何も言わなかったんだよね。たまに会うと「余計なこと言うな」とは言ったんだけど、それ以上は接しなかったよね。認めてはいないけど、否定もしてなかった。