もっと日常的にお金に関する会話をしたほうがいい
——日米の違いという点でいうと、著書では「アメリカの金融教育」についても触れられていましたよね。パックンさんは、どんな金融教育を受けたのでしょうか。
パックン 中学2年生のときにお世話になった社会の先生は、アメリカの中でも特に金融教育に力を入れていたようです。授業の中で衝撃を受けたのが、「超リアルな人生ゲーム」。日本で知られている人生ゲームとは違って、住むエリアを決めて、生活するための予算を作り、収入の予測まで立てる。僕はそのゲームを通して、借金の怖さとか、病気など突然のリスクへの備えが必要だと学びました。家計簿の付け方、信託口座の開設方法もね。
実際に実践するかどうかは別として、大人になるまでに知識として知っておいたほうがいいことばかりです。
——たしかに、義務教育で習いたい内容です。
パックン あとは、もっと日常的にお金に関する会話をしたほうがいい。アメリカでは普段の会話の中でもお金の話は出てきますが、日本ではどこかお金の話題はタブーな雰囲気があるような気がしていて。アメリカ人の僕からすると、人生においてこんなに大切なことに触れないまま社会に出るのは不思議なんですよ。
日本では20代半ばくらいまで親元で暮らす若者も多いですよね。せっかく金銭的・精神的なゆとりがあるその時期に、お金についてもっと積極的に学んだり、親とざっくばらんに話せるようになってもらえたらと思います。
今はお金のシミュレーションができる便利なアプリやツールもたくさんある。大きな買い物で頭金はいくら払うとか、限られた予算内でどこを減らせばもっと貯蓄や投資ができる、とかね。
子どもにはお手伝いの「対価」としてお金を渡す
——パックンさんご自身は2人のお子さんがいらっしゃいますが、お金についてはどのように伝えているのですか。
パックン ここまで色々語ってきた僕も、いざ自分の子育てとなると、なかなか難しいなと感じているところです。僕は幼少期の“逆境”のおかげでタフな精神力が身についたけど、子どもたちには「経済的な不安でやりたいことを諦めてほしくはない」というのが親心。
ただその一方で、「努力や我慢をしなくても何でもすぐに手に入る」とは思ってほしくない。だから、どうしても何かを欲しいと言われたら、家事のお手伝いをしてもらって、その「対価」としてお金を渡すようにしています。