あとは普段からお金について話したり、一緒に買い物に行ったりする中で、たしかな金銭感覚を育んでもらうのも大事ですね。「君が何気なく買っているジュース1本分のお金を稼ぐのに、どのくらいかかる?」とか、「一般的な家賃とか時給っていくらくらいだと思う?」とか。
——お子さんはどんな反応なんでしょうか。
パックン 長男はいま絶賛反抗期中だから面倒くさいみたいで、聞いてくれなくて。僕が出し渋ると、こっそりママにお小遣いをもらってることもある(笑)。
——反抗期には勝てませんね。
パックン ちゃんと理解できるのは、本人たちがもう少し大人になってからかなと思っています。でも僕もある意味で、かなり極端な金銭感覚の持ち主なんだと思います。ここまで尖らなくても、もう少し気楽にお金と付き合えばよかったかもしれない。
でもそれだけ必死だったからこそ、今の安定した生活があるわけで。僕のような生き方も、「1つの選択肢」として子どもに知っておいてほしいんです。
靴だって1足あれば十分。ジーパンなら洗濯しなくて平気だし、どんな服にも似合うから優秀、とか。ルームシェアや銭湯、あとは飲み会での節約術とかもね。選択肢は山ほどあるんですよ。
パックンが伝えたい「お金との付き合い方」
——今も金銭感覚は変わらず、ですか。
パックン マインドは変わっていないと思うけど、さすがに少しは余裕が出てきましたよ。例えば、特急列車が混んでいるときは指定席にするとか、水曜半額のクリーニング屋さんにも急いでいたら火曜日に出せる、くらいの余裕だけど(笑)。
僕はかっこいい服や車を買うより、かっこいい生き方をしたい。そのために、お金に縛られない方法や、お金との付き合い方の選択肢をもっと多くの人に伝えていきたいんです。
——そんなパックンさんの生き様やメッセージが綴られた著書『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』が反響を呼んでいます。
パックン 「もったいない」お金の遣い方からは卒業して、もっと気楽に、安心してお金と付き合える人が増えたら、と思ってこの本を書きました。お金に悩まされずに、そしてお金に縛られることなく、人生を楽しめたらハッピーじゃないですか?
読者の方からの「クスッと笑えた」「ユーモアに溢れている」という反響を見ると、文章を頑張って書いた甲斐があったと感じて、すごく嬉しいんです。お金についても、人生についても、もっと面白く、気楽に語れる人でいたいですね。
撮影=杉山秀樹/文藝春秋
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