——著書の中では、日米の「お金との付き合い方」の違いについても綴られています。日本に来て25年以上経つパックンさんから見て、日本とアメリカの金銭感覚の違いはどんなところにあると感じますか。
パックン 日本とアメリカは歴史も文化も違うから、単純比較して「どちらが優れている」とは言えません。アメリカだって、お金との付き合い方は結構変わっているからね。
信じられないだろうけど、アメリカ人の半分くらいは資産がほとんどなくて、借金して買い物をする。それに比べると日本人は貯蓄率も高くて、お金との付き合い方は堅実で立派だと感じます。でもそれ以上に、お金との付き合い方はちょっと「もったいないな」って。
日本は冠婚葬祭にめちゃくちゃお金がかかる
——「もったいない」というのは?
パックン 世間体とかを気にして、人付き合いで余計な出費をしている人が多いような気がするんです。見栄を張っているつもりではないんだろうけどね。
——対人関係を円滑にするためにお金を払う場面は多い気がします。
パックン そうなんですよね。僕もホームパーティを開くのは大好きだけど、事前に「手ぶらで来てね」って言っても、本当に手ぶらで参加する日本人はいないじゃないですか。
あとは、冠婚葬祭にもめちゃくちゃお金がかかるでしょ。「ご祝儀が払えないから、本当は行きたいけど泣く泣く嘘をついて結婚式を欠席する」なんて、本末転倒ですよね。
——パックンさんは「芸人一の倹約家」だと聞きましたが、芸能界では「付き合い」も多かったのでは。
パックン 僕は「付き合い悪い芸人」で有名だと思いますよ(笑)。飲み会だって、本当は家でおにぎりでも食べて満腹になってから行けば安く済むし、みんなで安いお酒を持ち寄って家で飲むのだって十分楽しい。自分のお金との付き合い方が軌道に乗るまでは、いくらでも切り詰める方法はあります。
「節約なんてケチくさい」と思う人には、「節約こそ、一番確実な儲け方だ」と考え直してほしいですね。ただ誤解がないように伝えたいのは、「損をする節約はするな」ということ。
——「損をする節約」?
パックン お金をケチって人間関係が悪くなったり、仕事がなくなったりするのは「悪い節約」だと思っています。人付き合いが最終的に利益を生むからね。
ただ、高いお歳暮や手土産を渡さなくてもお礼の気持ちを伝える方法は色々あると思っていて。別の形でコミュニケーションがとれていれば、自分も相手もみんな気が楽になるし、資産形成もできるのに、って思う場面はすごく多いんです。