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 振り返れば、分裂当初は、参加組織が相次いだ神戸山口組に勢いがあった。しかし、カネの問題などで不満が噴出したほか、組織運営の対立などを理由に離脱者は増加する一方である。

指定暴力団神戸山口組の井上邦雄組長(左から2人目)

 勢力縮小となった最初の動きは、一部のグループが2017年4月に任侠団体山口組(現・絆会)を結成して離脱したことだった。さらに、2020年7月には豊富な資金力で知られた池田組が脱退。翌8月には神戸山口組組長である井上邦雄の出身母体で、暴力団業界では名門とされる山健組も脱退を表明した。

 そして、2022年も脱退劇は続いた。8月に侠友会が、9月には宅見組も脱退したのだ。いずれも神戸山口組傘下の中核とされてきた組織である。しかも、侠友会会長の寺岡修は12月に対立抗争の相手であった6代目山口組若頭の高山清司に謝罪し、組織の解散と自らの引退を表明することとなる。

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6代目山口組の高山清司若頭

 四分五裂となっている神戸山口組だが、最大組織の6代目山口組も同様に減少傾向は否めない。前述のとおり、分裂時は約6000人が確認されていたが、警察庁の近年のデータによると、分裂翌年の2016年には約5200人、2017年は約4700人となり、以降、減少傾向は止まることなく2020年には約3800人となっていた。

山健組などの巨大勢力が離脱した影響が大きかった

 そして、神戸山口組の中核組織だった山健組が6代目山口組に復帰したこともあり、2021年は約4000人と増加したものの、最新データとなる2022年は約3800人と再び減少に転じたのである。

 一方の神戸山口組は2015年の分裂時には約2800人だった勢力が、2018年になると約1700人にまで大きく減少した。2020年には約1200人、2021年には約510人となっていたが、最新データでは約330人にまで勢力が縮小している。山健組などの巨大勢力が離脱した影響が大きかったと言える。

6代目山口組の司忍組長(中央)

 こうした脱退や解散について、警察当局の捜査幹部は、「脱退だ、解散だと宣言しても認めない。偽装かどうか見極めが必要。指定暴力団である神戸山口組傘下組織として、暴力団対策法の規制の対象とし続ける」との認識を示している。規制の対象外となると、資金獲得活動に対する中止命令を出せなくなるほか対立抗争時の事務所の使用制限などに支障があるからだ。