「入門を希望する若い衆には盃を与えない」暴力団の意外な実態
構成員数が減少しているのは6代目山口組や神戸山口組だけではない。国内2番目の規模を誇る住吉会、続く稲川会など全国の暴力団も同様だ。暴力団構成員数の近年のピークは2003年で、全国で約4万4400人が確認されていたが、その後は右肩下がりを続けてきた。
その要因は暴対法による規制だけでなく、「デフレによる景気低迷」「失われた30年」などと表現されるオモテ経済の苦境がそのまま闇社会である暴力団業界にも影響を及ぼし続けたことだ。そのうえ2011年までに暴力団排除条例が全国で整備されたことでさらに減少傾向に拍車がかかり、2022年には約1万1400人となった。
ただ、規制強化に手をこまねいているだけではないのが暴力団だ。こうした情勢に対処するため、関西地方に拠点を構える指定暴力団幹部は、「最近は反社排除で、スマホの契約は出来ない、車も買えない、銀行口座を開設できないなど、何もできない。だから入門を希望する若い衆には盃を与えない」と意外な実態を打ち明ける。
最近は入門者を組員として登録しないが、組員と同じ扱いにする
「ヤクザになりたがる若者が少ないのは確かなこと。半グレなどの方が楽で良いという傾向はある。しかし、少なからずヤクザになりたいという若い入門希望者はいる。だが、組員にしてしまうと反社ということで排除され日常生活で不便を強いられる。警察からも目を付けられる。良いことは何もない。だから、最近は入門者を組員として登録はしないが、組員と同じ扱いにしている。うちの組織には今では組員の倍以上、数十人はいるだろう」(同前)
この幹部の発言は、警察当局が集計している暴力団構成員数のデータを手放しで喜べる状態ではないということを意味している。警察当局がどこまで実態を把握できているのか、さらなる対策が求められる。(文中敬称略)