「人生とはなにか」を問いつづけられた主人公が、いよいよ答えを出そうとしている。ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)がついに最終回だ。
前クール『silent』(フジテレビ系)が爆発的なヒットとなった後、冬ドラマは寂しくなりそうだと心配していたが、そんなこともなかった。むしろ『ブラッシュアップライフ』は、より間口の広い作品になっていたと思う。
交通事故であっけなく死んでしまった33歳のあーちん(安藤サクラ)が、来世も人間に生まれ変わるため、人生をやり直して徳を積む。どの行動が“徳”に繋がるかは定かではないが、人間への転生を希望するあーちんに対して、提示された候補がアリクイやサバ、ムラサキウニだったのは、徳が基準値に達していなかったということらしい。
曲、服、セリフも伏線だらけ
ドラマ終盤の現在、彼女の人生はもう5周目。やっと掴んだ人間としての来世へのチケットを捨て、かけがえのない友達を救うために最後の人生を歩んでいる。周りの人たちが幸せになってほしいという願いも携えて。
同級生たちが結婚や出産を経験する中、どの人生においても、あーちんは仕事に邁進する。クレーム対応必至の市役所職員からはじまり、難易度の高い薬学部を経ての薬剤師、“好き”を仕事にしたテレビ局勤め、ノーベル賞も狙える研究職、そして憧れの職業ランキング常連のパイロット。
多くの選択肢から仕事を選べるようになったあーちんの人生は、最初より“ブラッシュアップ”してるといえるのかもしれない。何者にもなれないと悩む人が多いこの時代に、「人はなににでもなれる」ことを体現しつづけた主人公である。
バカリズムの代表作『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)が、他愛もない日常を描くのならば、本作はあらゆるところに意味を含んだ物語だと思う。
流れる曲、着ている服、誰かがなにげなく呟いた一言も翌週には理由があり、ネット上には多くの考察が生まれた。