「『永住権を取ったら結婚しよう』と言われたんです」
2度目の日本旅行では初日からホストクラブに入り浸り、2日目にはホストを店外に連れ出し、肉体関係を持った。4泊5日の旅行日程のうち、合計15時間をホストクラブで過ごすという豪遊ぶりでお金はすぐに尽きたが、ホストから“売掛”というツケ払いのシステムを教えられ、使う金額に歯止めがきかなくなったという。
「2回目の来日は延長せず帰国したのですが、やっぱり普段の生活がつまらないものに感じるようになってしまって、また1カ月後に日本へ来ました。着いたらもちろん歌舞伎町に直行です。売掛に甘えて遊んでいたら、ある日ホストから150万円の借金があることを知らされました。とても払いきれないと伝えると『日払いで給料くれる仕事があるよ』『ホテル代もその事務所に泊まれば浮くし』と言うんです。そのまま連れて行かれた先で急に面接が始まり、そこが風俗店と知ったのは後からでした……」
A子さんが紹介されたのは、派遣型のデリバリーヘルス。日に7時間勤務し、多い時で1日12万円を稼いだという。本番行為は禁止だが、金額によっては断れないこともあるという。当然労働ビザを持っていないA子さんは不法就労にあたるため、店側からは「日本名で働くように」と指示をされた。
「最初は戸惑って、韓国に帰ってしまおうかと考えました。でも私を風俗店に送り込んだ真意をホストに問いただしたら『A子が早く払い終えて、永住権を取ったら結婚しよう』と言われたんです。それで私も頑張ろうと思ったんです」
A子さんの韓国でのアルバイトは、時給2000円ほど。デリヘルでの稼ぎはその10倍だった。しかしA子さんは収入が増えたことで気が大きくなり、売掛金は減るどころか200万円にふくらんでいた。
A子さんの現状は不法就労にあたるのでは? という取材班の質問に「難しい日本語は理解できない」と首を横に振った。今後の見通しを尋ねると、A子さんは最後まで楽観的な言葉を口にした。
「“チャギヤ”(韓国語でダーリン)と結婚するまでの辛抱だから、頑張るつもり。ビザがないから滞在日数だけは気になるけど、チャギヤも助けてくれるから大丈夫だと思う」
現在もA子さんは、韓国と日本を行き来しながら、風俗店に出勤してから歌舞伎町のホスト街に姿を消す生活を続けているという。