虻川 あ、でもそこはライバルというより一緒に盛り上げる仲間、同志っていう意識だったので、「皆を出し抜いて有名になるんだ」みたいな方向でメラメラしていたわけではなかったです。とにかく皆で「『めちゃイケ』の次を目指そうぜ!」という感じでした。
過激な方向に流れがちだった収録現場
――カジサックことキングコングの梶原雄太さんと共演したYouTube動画で、「あの頃はどうかしてたよね」と話をされていたのが印象的でした。今振り返って「どうかしてた」と思う点はどんなところですか。
虻川 まず、寝ないんですよ。収録が土曜日の朝7時半から始まるんですけど、そのために前日金曜の朝から集まって、土曜の朝7時くらいまでずっとコントのリハをしてるんですね。だから毎週金・土の2日間はほぼ完徹になるんです。
――過酷な現場だったんですね。
虻川 軽いトランス状態ですよね。今で言うと「かかってる」っていうのかな。あと、皆若いから「やってやろうぜ」みたいなノリでイケイケだったんですよ。自分がウケないとオンエアされないこともあり、それこそゲストの方に失礼なことを言ってしまったりして、過激な方向に流れがちでした。
いまだにやらなきゃよかったと思うのは、歌手の高橋ジョージさんの顔に牛乳を染み込ませた雑巾をぶん投げたこと。音程を間違えたら雑巾を投げるという企画で、雑巾を投げるのが私の係だったんです。
“女”を武器にした笑いを求められることも
――誰もやりたくない係ですね。
虻川 でも、手を抜くと演出の方が気づくので、バチーンと思いっきりやりました。もうこれで高橋さんには二度と会えないと思いましたね。
――お互いプロではありながらも胸は痛みますよね。
虻川 収録後に謝罪に行きましたが、あそこまでしなくてもよかったよなと……。当時は失礼な言動をしても傷つく方が悪いみたいな風潮だったし、自分もそういうふうに思っていました。
――あの時代だからやってしまったけど、実は当時もチクチクと胸が痛んでいた、みたいなことって他にもありますか。
虻川 そんなことばっかりですよね。若い頃って、芸人さんは下ネタとか当たり前のようにするじゃないですか。慣れていたつもりですけど、自分で下ネタを言ったりやったりするのは実はあんまり好きじゃないんですよ。
特に女芸人だと、男の人の上に座りこむような、“女”を武器にした笑いを求められることがあって、それはかなり気合が必要でしたね。