自分に“セクシー”が香るのがもともと苦手
――「KIMIKO」という、音楽が流れ出すと洋服を脱ぎだしてポールダンサーになる虻川さんのコントを見たことがあります。
虻川 妖艶な感じの役でしたよね。なんというか、自分に“セクシー”が香るのがもともと苦手で、男子とのコントだと女性性を前面に出さなきゃいけない部分が多いじゃないですか。それよりも面白さの部分で対等に勝負したい、という気持ちはずっとありましたよね。
――「ポリコレ」という言葉が当たり前となり、20年前から業界も大きく変化しましたよね。北陽さんもフィールドを広げて今はYouTubeに力を入れています。
虻川 YouTubeをはじめたきっかけは、忙しく働けなくなって、キャリアが宙ぶらりんというか、空洞化している感じがして。でも、そんな人でも這い上がって活躍できるというところを見せられたら、と思ってはじめたんです。しかし結局、挫折してるんですけども。
――挫折してるんですか? 今も楽しく拝見していますが。
虻川 始めてみたら数字ばっかり追いかけて一喜一憂してしまって。休みの日まで編集しちゃって息子と遊べなくなったり、それこそ動画の制作とか反応が気になって寝られなくなってしまったんです。で、さすがにこれは良くないと思い、最近、配信ペースを週1回に落としたところでした。
相方の伊藤ちゃんもですけど、我々は子育て中かつ50歳も近い揺らぎの世代でもあり。そんな中でようやっと最近、「身の丈」という言葉を覚えたところです。
「ママって芸人なの?」ついに子どもに聞かれ…
――スポ根的に無理するわけでもなく、頑張って這い上がるでもなく、もうちょっとゆるやかにいこうと。
虻川 そうですね。ようやく最近、「もう這い上がらなくてもいいじゃん」って思いはじめたところです。
――ちなみに、お子さんは虻川さんのお仕事のことは知っているのでしょうか。
虻川 母が芸人であることはずっと隠してきたんですけど、YouTubeを見出してから『はねるのトびら』でやっていた「オシャレ魔女 アブandチェンジ」を見たみたいで、「ママって芸人なの?」と聞かれました。
家族が芸能人であることをひけらかすような子になったらイタいので、もう少し大きくなって、母が芸人であることを上手に捉えられるようになったら、お母さん渾身のコントを見てほしいなと思ってます。
写真=橋本篤/文藝春秋
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