日本人の4割にのぼると言われる花粉症患者。花粉の季節は集中力の低下や薬の副作用での眠気など日常生活に問題が生じるが、中でも悩みが大きいのが「鼻」や「喉」を商売道具にする人たちだろう。
特に今年は花粉症患者の“天敵”スギ花粉の飛散量が過去10年で最大と言われている。
花粉症の症状が仕事にダイレクトに影響する人たちは、どんな対策でこの地獄の季節を乗り越えているのか。花粉症歴が10年を越える“ベテラン”たちに話を聞いた。
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▼松林宏治さん(臭気判定士・共生エアテクノ代表)の場合
――臭気判定士とはどんなお仕事なんでしょうか?
松林 簡単に言えば、工場や飲食店から出る臭いが法律の定める規制値に引っかかっていないかを判断する仕事です。環境省管轄の国家資格で、行政から仕事を依頼される場合もありますが、私の会社では主にご家庭の悪臭の出どころを突き止めたり、飲食店や工場の臭い測定や対策を行なっています。
「試験は二次試験に嗅覚検査があるんですが…」
――まさに「鼻」が命の仕事ですね。花粉症が出たのは仕事を始めてからですか?
松林 いや、小学生の頃から花粉症でした。しかも私の場合はスギやヒノキだけでなく稲、ブタクサなどほぼすべての花粉に反応してしまう体質なうえに、寒暖差アレルギーやペットアレルギーもあるので、油断すると年中いつでも鼻がズルズルとしてきてしまいます。
――よくその状態で試験に合格しましたね(笑)。
松林 資格を取ったのは2005年の2月でした。大学を出て2003年頃から今の仕事をしていたのですが、臭いは目に見えないのでプロとしての肩書があったほうが説得力が出るかなと。ただ試験は二次試験に嗅覚検査があるんですが、正常な嗅覚があれば誰でも受かるもので、難しくはないんです。年に何度か受験チャンスもあるので、時期を調整することもできますし。