日本のオリックス・バファローズ、福岡ソフトバンクホークスにも在籍した李大浩解説委員は、SBSの実況中継で、「投手力の違いをまざまざと見せつけられた試合だった」と話し、KBSは日本に大敗した理由に「投手力の貧困」を挙げた。
イジメ問題で外された絶対的エース
スポーツソウルは「韓日戦を最後まで見られず…明らかな実力差で完敗」(3月10日)という記事で、
「韓国の投手は日本に比べて球速が10km近く落ちる。日本の打者は自国リーグで150kmあたりの球を相手に戦っている。韓国の投手の140km中後半台の球は日本の打撃に耐えられなかった。速い球を支える決め球も弱かった。技量の差が歴然と出てしまった」
と書き、「野球は投手のゲームだ」としながら、「投手の力不足だ。どこから間違っていたのか。幼少年野球の底辺が弱いからか。今大会で子供たちがさらに野球から遠のくのではないかという心配が先に立つ」と韓国野球を憂いてもいた。
大会前から韓国代表の投手力の弱さは指摘されていた。「韓国最高の投手」、「絶対的エース」といわれる安佑鎮投手(キウム・ヒーローズ、23)は2017年、高校時代のいじめ問題が報じられ、大韓民国野球ソフトボール連盟(KBSA)から懲戒を受けた。これによりKBSA が関わるオリンピック、アジア競技大会、WBSCプレミア12代表チームの選抜からは永久に除外された。
WBCはWBC, Inc.(MLBとその選手による共同設立)主催のため出場は可能だったが、昨年夏からメンバー入りを巡って、賛否が拮抗。結局、KBOは反対世論を考慮し不出場とした。WBCの掲示板には、「安佑鎮が出ていたら勝てたかも」「安佑鎮が5人いたら勝てた」といった書き込みも見られた。
また、元プロ野球選手の梁埈赫氏は自身のYouTubeで「安佑鎮にはチャンスをあげなければいけない。代表チームに安佑鎮が必要だ」と語ったが、こちらは「イジメを許すのか」と物議を醸してもいた。
韓国野球界の重鎮は「警告音を無視した結果」と
韓国プロ野球で監督を歴任し、チーム建て直しでは右にでる者はいない、 “野神(野球の神様)”と呼ばれる在日2世の金星根氏(80)は、「悔しいし、惨めだった」(聯合ニュース、3月11日)と日韓戦を振り返り、
「(日韓戦で2回途中まで好投した)金広鉉よりいい投手がいなかった。韓国と日本の戦力の差が露わになった。ワンチームで戦力の差を克服するよう願ったが、冷酷な現実だけが赤裸々にむき出しになった。今回のWBCの残念な結果は、10年間ずっと鳴っていた警告音を無視した結果」
と語り、こう続けている。