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「挨拶にスランプなし」「老いてこそ花」今年でデビュー35周年…仕事が途切れない男・松村邦洋(55)の“謙虚な生き方”

松村邦洋インタビュー #1

2023/04/01

genre : エンタメ, 芸能

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「ものまね」に人生を救われた

――人生のターニングポイントは?

松村 『電波少年』の砂漠遭難回と番組卒業、「東京マラソン2009」で心肺停止した時……。それぞれ命の危険があったり、タレント人生を見つめ直すきっかけになりました。ただ、もっとも大きかったのは、高校2年生で留年したことです。

 僕の通っていた高校では、「留年は恥で、中退の方がカッコいい」という風潮がありました。でも僕が留年すると創立50周年で卒業できることになり、キリがいい(笑)。

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 あと、その頃放送していた学園ドラマ『スクール☆ウォーズ』に、同じ2年生で留年した森田光男(役:宮田恭男)という生徒がいたんです。ヤケクソで、もう学校を辞めてやる!と吠えた森田に、熱血教師役の山下真司さんが、「今辞めたら、落第したという結果だけが残ってしまう」「一生取り戻すことができなくなってしまう」などと諭すシーンが印象的でした。

 それを見て、僕も留年しても頑張れるかなと思ったんですが、ドラマが終わった瞬間、現実はキツいな、と気づくわけです(笑)。でも、すでに学校でものまねをやっていた僕は、「披露するお客さんが入れ替わったと思えばいいんだ」と考えを切り替えました。ピンチが、逆にチャンスでしたね。

――ものまねが自分を救った。

松村 ものまねをすると、なんだか強くなれる気がしたんです。僕が高校生の頃は、非行や校内暴力で学校が荒れた時代。僕の地元もやんちゃな人たちばかりだったから、よくボコられもしました。

 そうそう、当時ドラマ『3年B組金八先生』で、「腐ったミカン」として大きな話題になった不良の加藤優(役:直江喜一)のものまねもよくしていました。不良に絡まれた時、彼の声音で「バカやってないでちゃんと真面目に働けよ、オマエら」と反論したこともありましたね。

 15人ぐらいいた学校の先生も、すべてマスターしました。先生のものまねをすれば、いじめっ子にも言いたいことが言えましたから。