「いつも通りのプレーをすることです。けどそれが一番難しい。
普段通りに戦えれば、日本が優勝すると思いますよ。とはいっても1次ラウンドの4試合も大勝はしているけど、決して簡単な試合ではなかったし、日本の良さが随所に出ていたのかといえばそうでもない。
唯一の不安材料があるとすれば、接戦を戦ってきていないことですね。終盤の7~9回で僅差になる勝負をまだしてない。そのときに選手たちの心理状態はどうなるのか」
「最強メンバーと言われても、負けたら最強じゃない」からこそ「楽しんで勝ってほしい」
経験したことのない重圧が掛かることは想像できるが、それでも佐藤氏は歴代の日本代表とは違う風情を今回の侍ジャパンに感じている。“新しい風”とでもいうべきか。
「先日、ダルビッシュ有が不振の選手について『野球なので、そんなの気にしていても仕方がないですし、人生の方が大事ですから。野球ぐらいで落ち込む必要はない』と言ったんですよ。すごいなと思ったし、まさにそれだなって。
僕の時代も含め、日本代表は何が何でも世界一というプレッシャーに縛られていたと思うんでけすど、初めて“野球を楽しもう”って素直に言うことのできた代表だって感じたんです。大谷やヌートバーを見ていても、全力で楽しくプレーをしているし、野球観が変わってきたんだなって」
勝負の厳しさはいつの時代も変わらないが、選手たちの鎖を引き千切るようなスタンスの変化には、心地のいい新鮮さがあると佐藤氏は感じている。だから……と、言葉を続けた。
「北京オリンピックの代表も今回と同じように“最強メンバー”と言われていました。けど負けたら最強メンバーじゃないんですよ。勝って初めてそう思われる。
それこそ、今回負けたら楽しくチャラチャラやっていると言われかねないのかもしれない。だから、矛盾するような話だけど、もう勝つしかない。楽しんでプレーをして、プレッシャーを跳ねのけ優勝する。侍ジャパンには、新時代の野球を存分に見せてもらいたいですね」
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