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「今の僕がいるのは紳助師匠のおかげ」芸人として潰れかけたクロちゃん(46)を救った“島田紳助の言葉”

無敵の芸人・クロちゃん誕生秘話 #2

2023/03/26

genre : エンタメ, 芸能

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 今や芸人として“唯一無二の存在”になった安田大サーカスのクロちゃん。視聴者の反感を物ともしない性格のせいか、週刊誌の「男が嫌いな男性芸能人」2位に選ばれるも、「羨ましさの反動では」と涼しい顔。

 いったい、そのブレないメンタルはどこから来るのか? 最新刊『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由 今すぐ真似できる! クロちゃん流モンスターメンタル術30』出したばかりの本人に尋ねると「過去の挫折経験」と「芸能界を引退した大師匠」が浮かび上がってきた。(全2回の2回目/前編を読む)

潰れかけたクロちゃんを救った島田紳助さんの言葉とは? ©山元茂樹/文藝春秋

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喋るのが怖くなり、本気で辞めたいと思った

――投げられたボールをすべて打ち返すイメージがありますが、苦手なこともあるのでしょうか。

クロちゃん 苦手なことだらけですよ! 芸人になる前は好きなことしかしてこなかったので、最初に困ったのは「苦手なことしかない」ということです。というのも、そもそも僕には一般常識がなかった。普通の人の考え方が、サッパリわからなかったんです。

 中高時代も、世の中はバンドブームだったけど、僕は興味を持てなかったんです。だから、そういった話をさも一般常識のようにされても、全然わからない。

 そういう人間なので、芸人になったのはいいものの、ボケ方がわかりませんでした。「常識」や「普通」と違うことをすれば「ボケ」になるでしょう? でも大前提をわかっていないので、ただスベるだけで話が続かない。そんなことはしょっちゅうでした。

 最初は声を面白がってもらえるけど、いざトークしてみると、普通のことが話せない。なおかつ、ボケることで面白いという反応も引き出せない。僕の持ち味はファーストインプレッションだけで、その後は変な空気が漂うのが常だったんです。

 だから芸人として通用しないとわかった時は、ショックでしたね。喋るのが怖くなって、本気で辞めたいと思いました。追い詰められて、当時の彼女から「仕事から帰ってきたら、毎回『もうやりたくない』って大泣きしてたよ」と言われたこともあります。僕は記憶から消していたんですけどね。

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