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ダメな自分を変えてくれた「紳助師匠の言葉」

――でも、辞めなかった。

クロちゃん (島田)紳助さんの存在が大きかったですね。当時、紳助さん主催の草野球に参加させてもらっていたんです。打ち上げで師匠が「お前らみたいなのが普通に来ても収録中、全然怖くない。けど死ぬ気でなにくそ!! とかかってくるやつは、『おっ』て思う」と言われたんです。

 その言葉を聞いて、番組で一度変な空気になったらシュンとして、それ以上喋るのをやめてしまう自分に気づけたんです。「ああ、自分は死ぬ気で参加してないな」と。たった1回でシュンとしたらダメだなと。

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 もしスベっても、もう1回挑みにいく。一言で響かなかったら、すぐ次のボケを繰り出していく。そうすることで、少しでも笑いを起こせたらいいんじゃないかと、考えが変わりました。

 あと紳助師匠は、あれだけ凄い方なのに、僕のような人間にも「一緒に頑張ろうな」と言ってくれたんです。その言葉を聞いて、僕も頑張ってみようと思えましたね。

紳助師匠の言葉が、クロちゃんを救った ©文藝春秋

――1回やってダメでも、へこんでいる場合じゃないと。

クロちゃん へこむのは、人間だから仕方ない。でも手数を打つことで、少しでもマイナス材料を減らそうという意識に変わりました。

「気持ち悪い」と散々いじられてきたけど…

――そんな苦労を経て、今のような鋼のメンタルを手に入れたんですね。

クロちゃん 他人の言うことすべてを真に受けると、傷つくのは当たり前。体調がいいときならまだマシですが、心身が弱っているときに聞いてしまうと、それに縛られてしまいがちです。だから、ネガティブな声を「変換」するようになったんです。

――それは、芸人になってからですか?

日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由 今すぐ真似できる! クロちゃん流モンスターメンタル術30』(徳間書店)

クロちゃん 小さい頃からですね。原体験は、やっぱり“この声”かもしれません。

 声変わりしても高いキーのままだったので、同級生からは「気持ち悪い」とか「変」とかさんざん笑われてきました。それをそのまま受け取ってしまっても、自分が傷つくだけ。だって、どうしようもないものですからね。それなら、いっそのことプラスに捉えてやろうと発想の転換をしました。

 僕が好きだったアニメでは、OPやEDソングを女性アーティストが歌っていることも多かったんですが、僕ならキーを下げずに歌える。それはもはや“神様のギフト”だと思うことによって、落ち込まずにすみました。