東日本大震災直後の「二子玉川ライズ」多難なオープン
遊園地が閉園し、逆に寂れてしまった駅東側を盛り上げようと、東急は地元地権者などとともに、遊園地閉園直前の1982年に「再開発を考える会」を発足しました。
しかし、バブル崩壊の影響は大きく、さらに権利調整、開発方針がなかなかまとまりを見せないなど、再開発機運が高まっては、また醒めるということを繰り返してきました。
25年におよぶ長い検討期間を経て、2007年にようやく再開発事業が着工されます。
「二子玉川ライズ」第一期のオープンは、2011年3月11日の東日本大震災発災直後でしたから、非常に多難な船出となりました。
しかし、二子玉川ライズの再開発によって生まれた豊かな広場空間が、帰宅困難者が安心して逃げ込める避難場所になったほか、開業セールのために仕入れ準備してきた豊富な食材を震災直後に販売して、随分と周辺住民の皆さんからは感謝されました。
2015年には第二期工事も完了し、これで晴れて二子玉川ライズはグランドオープンしました。楽天の本社も移転してきて、一気に二子玉川界隈は平日でも人がいきかう街になりました。週末は買い物客、平日はビジネスマンと人口バランスもよくなったと思います。
モール全体が「コンラン&パートナーズ」の監修による建築デザインによって、非常に開放的な空間になっており、周囲に多摩川の河川敷や大規模な世田谷区立二子玉川公園もあるので、しっかりとソーシャルディスタンスをとりながら、お買い物や散策を楽しむにはもってこいの場所です。
多摩川という自然環境をどう活かすのか
二子玉川の地域資源は何かと地元の人に問えば、かなりの確率で「多摩川」という答えが返ってきます。しかし、これまで二子玉川界隈にお住まいの方や来街者が気軽に、さらに日常的に多摩川の自然環境を活かした潤いのある生活を楽しんでいたのか、というと必ずしもそうではなかったと思います。
名物の二子玉川の花火大会や地元団体のお祭り、イベントの時には盛り上がりますが、平時は人影もまばらで意外とひっそりとしています。
二子玉川の街のブランドイメージを高め、もっと多くの人に来街してもらうためには、多摩川という地域資源を最大限活かし、その公共空間を上手に利活用することがポイントですが、個人利用は自由でも、特定団体が特定目的で河川敷を占有して利活用するには、法的にハードルがあります。