この素晴らしい資源を活かせないだろうか。そこで地元玉川町会と東急、玉川高島屋ショッピングセンターを運営する東神開発の3者に、世田谷区がアドバイザーとして加わり、2015年にエリアマネジメント団体「二子玉川エリアマネジメンツ」を設立しました。私も設立メンバーのひとりで、最初は任意団体として小さくスタートしたのですが、2019年には一般社団法人化したうえで活動実績を積み、晴れて2020年には世田谷区第一号となる「都市再生推進法人」に指定されました。
二子玉川駅周辺地区の都市再生整備計画の素案を提案し、それを受けて世田谷区にて都市再生整備計画が策定されるまでに至りました。都心型のエリアマネジメントにはいくつかの成功例はありますが、二子玉川のような住宅地もあるようなエリアでの成功例はそこまで多くはないと思います。
堤防の嵩上げ工事推進へ
同地区は2019年の台風19号の大雨により、一部地域で多摩川からの越流水により浸水被害を受けました。被害を受けた地区はかつて料亭などが軒を連ねていたエリアで、宅地化された後も眺望を楽しみたいという地元意見もあって、堤防の嵩上げ工事がなかなか進まずにいました。それでも線路から下流域の嵩上げ工事はなんとか完了していたのですが、上流側の工事が未着手のまま、台風19号の被害を受けるという残念な結果となりました。
「眺望」か「防災」か。地元には様々な意見がありますが、大規模な浸水被害を受けて、地元の意見も工事推進にまとまりました。
ここ十数年の気候変動の影響を受け、こうした自然災害リスクは年々高まっています。防災と親水性、眺望等とのバランスを意識し、自然の脅威にも配慮しながら、多摩川河川敷という公共空間を平時から安心して楽しめる地域にする。そこには裏方として「二子玉川エリアマネジメンツ」が日々貢献していることも忘れないでほしいものです。