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野木亜紀子がいま沖縄を描いた理由「この機会を逃したら二度とないと覚悟を決めた」

野木亜紀子がいま沖縄を描いた理由「この機会を逃したら二度とないと覚悟を決めた」

野木亜紀子さんインタビュー

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沖縄慰霊の日にも足を運んだ

 ただ、この北野拓プロデューサーとは、ネットメディアの女性記者を主人公にした『フェイクニュース』(NHK総合・2018年)でもご一緒していて、彼の高い取材能力は信頼していました。もともとはNHK沖縄放送局で報道の現場にいて、日本では数少ない社会問題に精通しているプロデューサーです。さらにもう一人、WOWOWからは、沖縄の普天間出身の高江洲義貴プロデューサーが加わってくれました。

 基地問題や政治的なテーマは、民放の地上波で正面から扱うことは難しい。そんな中で企画が通りかけていて、沖縄に理解の深い人達が一緒にやりたいと言ってくれている。この機会で書かなければ、もう二度とないだろうと覚悟を決めました。

 沖縄には合計で40日ほど滞在し、取材しました。1回につき10日間くらい、朝から晩まで、沖縄在住の一般の方はもちろん、警察関係者、弁護士、女性の性被害者からの相談を受けている団体の方、ブラックミックスの当事者まで、100名以上の方にお話をうかがいました。

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 残念ながら、米軍への取材はオフレコでも難しく実現しなかったのですが、米軍の捜査機関からは直接話を聞けました。メディアではおそらく日本で初めてではないでしょうか。プロデューサーに組んでもらった取材以外にも、一人で飲み歩いたり、6月23日の沖縄慰霊の日に行って、できるだけ沖縄を肌で感じるよう努めました。

性被害を受けた女性たちのカウンセリングを行う医師は、沖縄出身の新垣結衣さんが演じる

――桜の事件を取材する雑誌記者のキーを演じる主演の松岡茉優は「知らない人には知ってもらう、知ってる人は傷つけない作品を作れたら」と意気込みを明かしている。そして、性暴力被害者の支援団体に力を貸す精神科医の城間薫役を演じるのは、沖縄出身の新垣結衣だ。