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野木亜紀子がいま沖縄を描いた理由「この機会を逃したら二度とないと覚悟を決めた」

野木亜紀子がいま沖縄を描いた理由「この機会を逃したら二度とないと覚悟を決めた」

野木亜紀子さんインタビュー

note

総勢50人以上の沖縄出身の役者が出演

 脚本を書き始めたときから、キー役は、ぜひ松岡茉優さんにお願いしたいと思っていました。オファーをしたとき、松岡さんはすぐに良いお返事をくださったのですが、偶然にも、琉球大学で女性の貧困や性の問題に取り組んでいる上間陽子さんの著書、『海をあげる』を読んでいたそうなのです。松岡さんとは、昨年の日本アカデミー賞授賞式で初めてお目にかかったのですが、「お話をいただいたときには、来た、と思いました」と、熱意を伝えてくれました。

松岡茉優さんは上間陽子さんの『海をあげる』を読んでおり、すぐに出演を承諾したという

 宮本エリアナさんは、なんと今回が初めてのお芝居で初主演。大きなプレッシャーがあったと思います。でも、脚本をきちんと理解していてセリフ覚えも完璧で、沖縄ことばを指導の方と特訓して、撮影時にはとても上手になっていました。お芝居も、ベテランの松岡さんに引っ張られてすごく良かった。エリアナさん自身、ミス・ユニバース日本代表に選ばれたとき、ブラックミックスであることで心無い言葉を浴びせられたこともあったそうですが、今後もっと活躍の場が広がるといいなと思います。

演技初挑戦の宮本エリアナさん

 性被害を受けた女性たちの相談やカウンセリングを行っている女性医師の役は、過去4作品ご一緒した新垣結衣さんにお願いしました。女性問題に取り組む方たちの思いに取材で触れるなかで、必要だなと思い設定した役です。沖縄出身ということもあり依頼したら、すぐに快く引き受けてくださいました。

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 本作では総勢50人以上の沖縄出身の役者さんに出演していただきました。沖縄のこうした問題を描くドラマに出ることは、高いハードルがあると思います。基地問題一つとっても、単純な賛否では片付かない気持ちがあるでしょうし、沖縄の苦労を知らない本土の人間が政治的立場を明らかにしろと迫るのもおかしな話です。そうした複雑さがあることも、ドラマから受け取ってもらえれば。

●ドラマの大きな軸である基地という課題や性暴力の問題、プロデューサーや監督とのチームプレーであるドラマの制作現場、日本のドラマに覚える危機感など、インタビューの全文は『週刊文春WOMAN2023春号』でお読みいただけます。

INFORMATION

「連続ドラマW フェンス」WOWOWにて毎週日曜午後10時より放送中(【全5話】【WOWOWプライム・WOWOW4K】、WOWOWオンデマンドで配信中【無料トライアル実施中】

配信:各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信 [無料トライアル実施中]
脚本:野木亜紀子(「アンナチュラル」「MIU404」『罪の声(塩田武士原作)』)
監督:松本佳奈(「きょうの猫村さん」「連続ドラマW パンとスープとネコ日和」『マザーウォーター』)
音楽プロデューサー:岩崎太整
音楽:邦子  HARIKUYAMAKU  諸見里修  Leofeel
主題歌:Awich「TSUBASA feat. Yomi Jah」(UNIVERSAL J)
プロデューサー:高江洲義貴 北野拓
製作:WOWOW NHKエンタープライズ
番組特設サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/fence/

野木亜紀子がいま沖縄を描いた理由「この機会を逃したら二度とないと覚悟を決めた」

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