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「とがっとった時期も、自分が嫌いだった時期もありましたよ」 矢部太郎45歳が102歳哲代おばあちゃんに聞いた、“欠けた気持ち”の晴らし方

「とがっとった時期も、自分が嫌いだった時期もありましたよ」 矢部太郎45歳が102歳哲代おばあちゃんに聞いた、“欠けた気持ち”の晴らし方

石井哲代×矢部太郎

2023/03/27

「デイサービスでは新米じゃけね」

矢部 もうなってますよ。哲代さんは、僕の描くおばあちゃんにすごく似てます。

哲代 そうですかねえ。

©文藝春秋

矢部 あ、それで、この漫画を描いて知ったんですが、お年寄りの中には、デイサービスに行きたくないという人も結構多いんですよね。

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哲代 気の毒ですね。そういう人には、「元気出しんさい」と声をかけてあげたいんじゃが、まだ私もデイサービスでは新米じゃけね。我慢しとるんです。

矢部 哲代さんがいるデイサービスは、楽しそうですね(笑)。

哲代 うちは五右衛門風呂で99歳までは自分で薪をくべて沸かしとったけど、今は危ないけえね、デイサービスの風呂に通うようになったんです。

 体操もおしゃべりも全力出して楽しんどります。あそこはね、風呂はええし、ご飯もおいしいの。ご飯が私にはちいと足りんのですけど。

矢部 食べ過ぎたら健康によくないから、哲代さんの体のことを考えてくれているんですよ。

哲代 そうやった。物事は表裏一体、悪いほうを見て悲しがらずに、ええほうを見んといけんかった。手の甲はしわしわだけど、手のひらはつるつる。ひっくり返せばええこともあるんじゃけ。

矢部 そうやっていい方に考えて、自分をご機嫌にしているんですね。いつも笑顔ですし。