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「言われてみれば、確かに不思議だなあ」地元住民も存在意義を知らない“森の中の謎ロータリー”…現地を訪れて“歴史の真相”を探ってみた

日本で見つけた“不思議道”#1

2023/03/29

genre : ライフ,

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区長さんが放った“意外な一言”

 ロータリー周辺の山林を管理している自治会の区長さんなら事情をご存知なのではないかと、期待が膨らむ。しかし、区長さんもロータリーの理由はご存知ではなかった。

 あのロータリーは少なくとも30年以上前から存在しているが、自治会が造った道ではなく、行政が造ったのではないかと教えてくれた。今はほとんど利用することがなく、何のための道かよく分からないが、定期的に草刈りをするなどしてきちんと維持管理しているのだという。

よく見るとロータリーはどこもきちんと維持管理されていることがわかる

 道は、今でこそ当たり前の存在になっているが、昔はとてもありがたい存在だった。道がなければどこに行くことも出来ないが、自分の労力だけで道を造るのはとても大変だ。昔の人はそれを知っているので、他人や行政が造ってくれた道を、とても大切に使っていた。廃止されて使われなくなった道にも感謝の気持ちを忘れず、綺麗に掃除している住民の方に出会ったこともあった。道が好きな者として、こうした話を聞くと嬉しくなる。

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道路沿いの草も綺麗に刈られていた

 集まってきた住民の方にも聞いてみたが、答えは同じだった。ある方は、あの道は通り抜けることが出来ないし、沿道に何か産業がある訳でもない。林業か山仕事のための道としか考えられない。ロータリーにしたのは、Uターンしやすいようにとか、対向車とすれ違うためではないか、と話してくれたが、あくまでも想像だという。

「たぶん、知っている人は誰もいないんじゃないかな」と区長さん。今後の調査にも暗雲が立ち込めてきた。

 日が落ちて真っ暗になってしまったので、この日は諦めて帰路についた。聞き取り調査では、山の中にローターリーが設けられた理由は判明しなかったが、複数の方に話を聞いて面白かったのは、皆さん“ロータリー”と表現していたことだ。地元の方同士で話す際も「あのロータリーの道」で通じていた。やはり山の中にロータリーがあるのは珍しく、ロータリーの存在は地元では知られているようだった。

 しかし、その後も諦めず“不思議道”が作られた理由を追っていくと意外な事実が判明した……。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「言われてみれば、確かに不思議だなあ」地元住民も存在意義を知らない“森の中の謎ロータリー”…現地を訪れて“歴史の真相”を探ってみた

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