文春オンライン
「どうせ船橋で開業するなら…」四ツ谷で愛された「大衆そば屋」が閉店、5年ぶりに再会した“元店長”が語ったこと

「どうせ船橋で開業するなら…」四ツ谷で愛された「大衆そば屋」が閉店、5年ぶりに再会した“元店長”が語ったこと

2023/03/28
note

 長い間大衆そばを食べていると、親しくなったそば屋の店主や店長が突然やめて音信不通になることがよくある。「あの人は今……」じゃないけれど、どうしているのかとたまに思い出すわけである。そんな人との再会は実に嬉しいものである。

四ツ谷の人気店が惜しまれながら閉店

 JR四ツ谷駅からすぐのしんみち通りに、かつて「政吉」という大衆そば屋があった。1994年初代店主が創業したが2013年末に閉店。その後、麺を仕入れていた会社が屋号や味を引き継ぐかたちで2014年1月末に「四谷政吉」として再開し人気となっていたが、コロナ禍の影響で2021年10月に惜しまれながら閉店した。

 その「四谷政吉」の立ち上げ時に店長をしていたのが山崎大さん(44歳)。まだ若く、そば好きで才能も商売経験も豊富。定期的に情報交換もしていたのだが、ここ5年ほど音信不通になっていた。

ADVERTISEMENT

2021年10月に惜しまれながら閉店した「四谷政吉」

 その山崎さんが千葉県のJR船橋駅から南側へ歩いて9分ほどのところで「船橋しらぬひ」という店を2022年12月12日にオープンしたという。大衆食研究家の本橋隆司氏がその情報を入手しこっそり教えてくれた。感謝多謝である。

 さっそく2023年3月20日に「船橋しらぬひ」を訪問してみることにした。船橋は15年ぶりの訪問である。

JR船橋駅は実に15年ぶりの訪問

いざ「船橋しらぬひ」を訪問!

 JR船橋駅に降り立つ。京成線も乗り入れ活気がある。そして大きな街である。駅前の繁華街をキョロキョロしながら、駅前通りを東京湾方向へ歩いて行く。少しずつ道が下っている。ドン・キホーテを通過。船橋第二庁舎が入る船橋スクエアを通過し少し行った路地を右へ入っていく。飲食店が多い一角で、しばらく行くと左手の路地に店はあった。

船橋駅前あたりは大繁華街
船橋第二庁舎が入る船橋スクエアを通過
細めの路地を右折してしばらく行く

午後2時過ぎでほぼ満席

 紺色と白を基調にしたハッキリした外観である。そしてお店の口上が黒板にぎっしり書いてある。コンセプトを伝えることは大切である(詳細は後述)。酒のつまみからおすすめメニューなど壁一面お品書きが貼ってある。期待が膨らむ。

紺色と白を基調にしたハッキリした外観
5年ぶりの再会である
店内はゆったり

 お店に入ると、山崎さんがにこやかに迎えてくれた。「四谷政吉」時代は店長だったが、今度は自ら店を経営する店主である。午後2時過ぎだがほぼ席は埋まっている。店内はテーブルが5つほど配置されている。ゆったりとしたレイアウトで、地元の人たちが集う雰囲気がなかなかよい。