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「もちろん彼らは真剣だし緊張感もあるんですけど、ダルビッシュ選手を中心に“野球を楽しもう”といった雰囲気が作り上げられていたチームでしたよね。僕らの時代は集中して勝とうという強い気持ちはありましたけど、楽しもうという感覚にはなれませんでした(苦笑)。

明るい表情が目立った今回の日本代表 ©鈴木七絵/文藝春秋

 けど今回の侍ジャパンは、合宿もそうですしダグアウトを見ても笑顔が多かった。なんか野球の原点である“楽しむ”といった様子が感じられ、それもまた観てくれているファンの人たちの求心力になったように感じます。本当、あらゆる意味でドリームチームだったと思いますね」

日本戦生中継だけでは分からない「WBC」の現在地

SNSでも大きな話題を呼んだチェコ代表 ©佐貫直哉/文藝春秋

 さて、開催のたびにネームバリューを高めているWBCであるが、多村氏は1次ラウンドで日本が戦ったプールB以外の試合の解説も務めていた。日本でも初出場のチェコの奮闘が話題になったが、イギリスやニカラグアといった国も初参加している。

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「イギリスもニカラグアもいいチームでした。両チームともルーツがその国にあるアメリカ人のメジャー、マイナーリーガーが多かったんですけど、真摯なプレーが目立っていたし、祖国のために頑張ろうって気持ちが見えました。チェコ同様に別に仕事を持つ選手もいたり、祖国にもっと野球を知ってもらいたい、子どもたちに興味をもってもらいたい、後につづいてもらいたいって気持ちでプレーしていたと思いますね」

 またベネズエラ、ドミニカ共和国、プエルトリコといった多くのメジャーリーガーを擁する激戦のプールDの熱狂には多村氏も圧倒された。

「強豪ひしめく“死の組”じゃないですけど、まさか優勝候補のドミニカが準々決勝に進めないとは思いませんでした。それだけハイレベルなグループでしたね。

 あと試合も熱いんですけど、スタジアム(ローンデポ・パーク)の雰囲気もすごかったんですよ。野球は中南米では人気スポーツですから観客もお祭り騒ぎのように盛り上がっている。ぜひ、ああいった文化をもっと日本の方々に知ってもらいたいし、僕も解説者として、多くの人に伝えていきたいんですよね」