中本 いや。妻が心筋炎と帝王切開で入院して、その後もリハビリがあったので働けない時期があったんです。で、僕だけ働いていたんですけど、基本的に共働きじゃないとはねられちゃう。でも預けないと働けない、という矛盾があるんですよ。なので、葛飾区に越境して認可外の保育施設で預かってもらって。
その間に妻が働いて共働きの実績ができたので、足立区の保育園に通えるようになりました。
保育園のお迎えに行ってショックだった出来事
――現在のスケジュールは、どういった感じでしょう。
中本 妻は、朝から夕方までの講師の仕事が週に3、4回あって。
6時30分くらいに起きて、朝ご飯を食べて、僕が掃除とゴミ出しをして、息子を起こして、登園の準備をして。その間に妻は、息子に食事をさせて、仕事に出る準備をして、一方の僕はリモートで編集局長などと今日の紙面をどうするか打ち合わせしながら、子供の面倒も見ると。で、夫婦で登園させて、妻は仕事に、僕は家に戻って家事の残りをやって、リモートで仕事をします。
で、昼に時差出勤して、会社じゃないとできない仕事をして、残業して、軽く呑んで。その間に妻がお迎えして、ご飯を食べさせて、僕が帰ってきてお風呂に入れると。
夜は23時あたりで寝ますけど、子供が寝付けなかったり、僕が調べ物をするときは1時くらいに寝ます。
――保育園で同年代のお父さんを見掛けたりは。
中本 いやぁ、みんな若いですね。一度、お迎えに行ってショックだったことがあって。息子の帰りの準備をしていると年長の子が近づいていろいろ話しかけてくるんですけど、そこで「なんで、おじいちゃんが来てるの?」とか「なんで、髪の毛ないの?」とか聞かれて。また無邪気に聞いてくるもんだから、かえって傷ついちゃってね(笑)。
父親にできなかった恩返しを子どもに
――56歳で父になったからこその意識や視点の変容はありますか?
中本 それは日々実感しますね。しゃがんで子供と同じ目線になってみたら「こんなに保育園の園庭って広いのか」「こんなに空が大きいのか」って、「見るものすべてが大きく見えるんだな」とハッとしたりね。
あと、息子が夕方に出てきた月に気づいて「あっ」って指差したのを妻が見て、涙が出そうになったらしいんですって。その純粋さが刺さったというか。で、僕もそれを聞かされて涙が出そうになって(笑)。
あらかわ遊園や花やしきに連れていくと、見るものすべてが新鮮らしくてキョロキョロして、喜び方もすごいんですよね。帰ってきてからも、「また行きたい」と何度も言う。そういう姿を見ると、なんだか自分まで子供に戻ったような感覚に陥りますね。まぁ、これはどの親も同じように感じているでしょうけどね。