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「『寛』と普段は呼んでますが、初めて会ったのは彼がまだ俳優になる前…」

(劇中より)©2023 FANTASIA

―終始お2人の掛け合いが絶妙でした。

池松 「寛」と普段は呼んでますが、初めて会ったのは、寛がまだ俳優になる前、現場に見学に来てくれたんです。地べたに座ってコーラか何か飲んでまして。そのどこか不服そうな佇まい、シャイで人見知りで、芯がありそうなその青年をすぐ好きになりました(笑)。

寛一郎 (笑)。あの時、対面するなら「池松壮亮の共演者として会いたい」という心と「演技を見たい」希望で揺れてたんです。

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池松 僕自身、佐藤浩市さんとは若い頃から共演が多く、縁の深い方だと思っています。会うたびに沢山のことを教えてもらってきました。それを理由にしたくはありませんが、やっぱり寛を他人と思えないところがあるんです。デビューしてから、陰ながらこっそり見守っていましたが、いい俳優だなあと見かけるたびに思ってました。

寛一郎 最初は緊張していたんですが、撮影中は「壮亮さんと一緒にいられただけで幸せだ」と考えていました。

池松 2人で楽しく時を過ごせました。なかなかああいう空気は生まれるものではありません。テクニックだけではああいうところは目指せません。演技の勘はもちろん、感性の鋭さと優れたセンスを持っています。はじめて寛としっかりと共演できて嬉しかったです。

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2023年3月8日 発売

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いけまつ・そうすけ 1990年福岡県生まれ。03年『ラスト サムライ』で映画初出演。その後『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)、『斬、』(18)、『宮本から君へ』(19)など多くの作品に出演し主要な映画賞を受賞している。3月17日には庵野秀明監督による主演作『シン・仮面ライダー』が公開される。

かんいちろう 1996年東京都生まれ。父・佐藤浩市に連れられ、幼い時から映画の現場を訪れていた。17年に『菊とギロチン』(公開は18年)で俳優デビュー。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)の演技が評価され日本映画批評家大賞の新人男優賞を受賞。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、公暁(くぎょう)役での熱演が話題に。

INTRODUCTION 数々の名作を生んできた阪本順治監督の30作目は、貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿と人のぬくもりを描く時代劇。主演は声を失うことで中盤からセリフが無くなる凄まじい演技をみせた黒木華。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の公暁役が話題になった寛一郎は、父・佐藤浩市との共演が大きなみどころだ。そして数々の主演作で日本映画界を牽引し、『シン・仮面ライダー』が公開される池松壮亮。次世代を担う演技派俳優3人による貴重な共演が実現した。

STORY 日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えている没落した武家の娘・おきく(黒木華)。ある雨の日、厠のひさし下で雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と、下肥買いの矢亮(池松壮亮)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる3人はやがて心を通わせていくが、ある出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう……。

STAFF&CAST 監督・脚本 : 阪本順治/出演:黒木華、寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司/2023年/日本/90分/配給:東京テアトル、U-NEXT、リトルモア/©2023 FANTASIA

岸川真=文、杉山秀樹=写真

ネモト(ヒトメ)=ヘアメイク(池松壮亮)、NORI TAKABAYASHI(YARD)=ヘアメイク(寛一郎)、坂上真一(白山事務所)=スタイリング(寛一郎)