なぜニッポン野球は“キャラ変”したのか
――今回は大谷、吉田、岡本、村上の長打が目立ち、「パワーゲーム」で日本が勝つというこれまでとは違うパターンで優勝しました。日本といえば、小技、足を絡ませた「スモールベースボール」がお家芸だったのが、キャラ変しましたね。
里崎 栗山監督がキャラ変したわけではないと思います。盗塁数は9個と全チーム1位です。ただ、小技を使う選手がスターティングラインナップには上位打線で並んでないだけです。象徴的だったのは、準決勝のメキシコ戦の9回、無死一・二塁で村上を迎えたじゃないですか。
――あの場面、里崎さんはバントもありだと思いましたか?
里崎 可能性的にはあったと思います。事実、牧原選手が直前まで代打バントで準備していたと聞きます。最後は、栗山監督は村上選手を信じて打たせて、それがサヨナラにつながった。今大会の名場面になったのではないでしょうか。
――村上はあの一本で覚醒しましたね。
里崎 打者はたった1打席で変わるんです。それが肝心要の大事な場面で打てチームを救いましたね。決勝戦での失点した後の同点ホームランも大きな1発になりました。
――それにしても、日本の誇るスモールベースボールは「遠くになりにけり」といったところでしょうか。
里崎 さっき、言いましたよね。今回はパワー系の選手が上位打線からスターティングラインナップに並んだだけで、源田選手と9番のキャッチャーのところでは、細かいことやってました。スモールベースボールをやろうと思ったら、日本にはたくさん出来る選手がいます。だから、どういうチームをつくるかは編成、監督の考え方次第だと思います。
――そして最後は大谷が登板して、日本人にとっては完璧な形で物語が完結しました。
里崎 大谷選手はエンゼルスの監督・GMに了解をとり、決勝戦1イニング限定での登板を許され、クローザーでの登板になりました。先頭打者を四球で歩かせたあと、ちょっと嫌な雰囲気はありましたけど、1番のムーキー・ベッツを4―6―3のゲッツーに取れたのが大きかったですね。さすが大谷選手。状況に動じず、低めの素晴らしい投球でした。
――そして最後の打者のトラウトを迎え、大谷がキレのあるスライダーで三振。里崎さんがキャッチャーでも、あそこはスライダー要求ですか?