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西原 はい、未成年だと病院での処方をしてもらえないので、自費で薬を買って。今はわかりませんが、当時は法整備があまりされていなかったこともあり、ガイドラインもなかったのでそういう方法しかなくて。適量がわからないまま、今考えたら薬の副作用もよく知らなかったので怖い話なんですけど。

――「怖い」という気持ちより、男性らしくなっていく体の成長を少しでも止めたい気持ちのほうが強かったのでしょうか。

西原 圧倒的にそうですね。恐怖心よりも、心の性に合う体になりたい気持ちが強かったです。

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26歳のときに、タイで性別適合手術を受ける

――性別適合手術を受けられたのはいつごろでしたか?

西原 26歳のときに、タイで手術を受けました。だから「ミスインターナショナルクイーン」の少し前ですね。

 地元の広告代理店で、営業職として働きながらお金を貯めて。少しでも早く女性の体へと変えたかったので、もともと「30歳までに手術を受けよう」とは思っていたんです。お金が貯まったのと、転職を考えていたタイミングでもあったので、自分の中で「ここを人生のターニングポイントにしよう」と。

――手術のために、どれくらい貯められたのですか。

西原 私の場合は、250万円くらいでした。ただ、必要なお金は本当に人それぞれで。病院によっても手術の方法によっても違ってくるし。例えば女性らしい顔に近づけるために美容整形も受けている子は、合計で1000万円近くかかったりもするようです。

――個人差がかなりあるのですね。

西原 そうですね。私は手術費用が200万円くらいで、術後3~4ヶ月は絶対安静というか、働けない状態になることがわかっていたので、その間の生活費としてプラス50万円ほど貯めていました。

 

月に1度の「ダイレーション」が半年くらい痛かった

――働けない状態というのは、例えば傷が癒えるまで入院をしたりですか?

西原 いえ、意外に入院期間はそんなに長くないため、日常生活に気を付けていれば問題はなくて。ただ局部を切る手術をしているので、座るときに患部が圧迫されないように、円座クッションを使ったり。

――重いものを持つとか、走ったりしなければ基本的には大丈夫ということですか。

西原 そうですね。歩けるのは歩けるけどガニ股になったり、歩くスピードがゆっくりだったり、やっぱり手術直後なので体に怪我を負っている感じではありますけど。

――術後の痛みは、どれくらい続くものなのでしょう。

西原 痛み自体は10日くらいで落ち着いて、麻酔がなくても大丈夫な状態にはなります。ただ月に1度「ダイレーション」という、作った膣をアクリル製の棒で広げてメンテナンスをする必要があるんですけど、それがじわじわ痛くて、半年くらい痛かったです。

――ピアスの穴の傷口が塞がらないようにする、みたいなことですよね。膣がふさがるのを防ぐために、広げる作業が必要だという。それは術後どれくらいの期間続くのでしょうか。

西原 一応、一生とは言われているんですが、私の場合、1年くらいしっかりとやってからは、2~3年後の経過に問題がなければほとんどやらなくても良い感じでした。