今日3月31日は、「国際トランスジェンダー可視化(認知)の日」。トランスジェンダーの人々には、どのような差別や困難に直面している現状があるのだろうか。
ドラマや映画の脚本監修、講演会への出演など幅広い分野で活動するトランスジェンダー女性の西原さつきさん(36)によると、当事者が就労の困難や貧困問題を抱えているという。長年貧困問題を取材しているライターの吉川ばんび氏が、西原さんに話を聞いた(全3回の1回目/2回目に続く)
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「乙女塾」という支援団体を立ち上げ、毎週土日にレッスンを開講
――西原さんはトランスジェンダー女性の立場から映画『ミッドナイトスワン』、ドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日)といった話題作で脚本監修をなさったとのことですが、普段はどのような活動をされているのでしょうか。
西原さつきさん(以下、西原) 「乙女塾」というトランス女性向けの支援団体を立ち上げ、毎週土日にレッスンを開講しています。そこに来られた方に、女性として社会生活に馴染めるよう、所作や発声の指導を行なったり、一緒に練習を行なったりもしています。
「女性らしく」というのも本来は画一的な価値観の押し付けにならないよう気を付けているのですが、ここではあくまで社会に馴染む、という意味でその言葉を使っています。
そのほかにも、ドラマや映画でトランスジェンダー女性役を演じる俳優さんを指導させてもらったりもしています。
NHKドラマ『女子的生活』では演技指導だけでなく自らも出演
――「乙女塾」では発声の指導まで行なっているのですね。
西原 実は、性別適合手術やホルモン投薬治療を受けただけでは、声は変わらないんですよ。だから女性のような声で話すには、練習が必要になります。
声帯を手術する方法もありますが、私はボイストレーニングで今の声を習得しました。元々は我流でしたが、それでは限界がきてしまったので、途中から声優学校に2年間通って。声の仕組みや発声方法を学んだりしながら。
――ホルモン投薬治療で自然と声が高くなっていくのかと勘違いしていました。ちなみに「乙女塾」に参加される方はどういった年齢層が多いのですか?
西原 それが結構幅広くて、10代から70代の方までいらっしゃいます。10代の方だとご両親と一緒に来られて、家族単位のお付き合いになることが多いですね。
――西原さんは脚本監修や「乙女塾」以外に、ご自身も俳優やモデルをされていると伺いました。