ガチャガチャは第4次ブーム
ガチャガチャの歴史は古く、もともとはアメリカでチューインガムの販売機として作られたもので、これが1965年に日本に伝わり小型玩具を販売するカプセルトイになったという。
最初のブームは1970年代後半からで、当時の小学生たちが夢中になったのはスーパーカー消しゴム。その後、80年代半ばにキン消し(キン肉マン消しゴム)が人気となり、第2次ブームが到来。95年頃にはディズニーなどが参入したことでコレクション性が増し、徐々に大人のニーズも増加していく。
そして2012年に発売された「コップのフチ子」がSNSで拡散され大ヒットする。10万個でヒット商品と呼ばれる業界では異例ともいえる2000万個を売り上げたこのフチ子人気がきっかけとなり、単なる子供向け玩具ではなく、様々なカルチャーやクリエイターやデザイナーとコラボした商品が続々と発売され、いわゆる「大人ガチャ」の市場が拡大していった。これが第3次ブームだ。
「ちょうどこの時期はTwitterが普及していったタイミングで、フチ子さん人気もTwitterがなければここまで拡散しなかったでしょうね。サイズ的にもオフィスや自宅のデスク周りにちょっと飾ったりするのにちょうどよくて、それをスマホで撮影して手軽にアップできますからね。ガチャガチャとSNSの相性はメチャクチャいいんです」
そして現在の第4次ブームは、コロナ禍が始まった2020年頃から盛り上がり始め現在まで続いている。ガチャガチャは非接触の販売のため機械と商品さえ置けばビジネスが展開でき、人件費も少ないため利益も期待できるという事情も出店を加速させたという。
コロナ禍で加速したガチャガチャ専門店の広がり
「コロナ前まではインバウンド需要が盛り上がっていましたよね。ところがコロナによって一気に厳しくなってしまい、その影響で飲食店やアパレルなどの店舗が撤退し、ショッピングモールなどでは多くの空きスペースが出ました。そのスペースを利用してガチャガチャの専門店がものすごく増えたんです。
数年前までは専門店の数も少なかったし『ドリームカプセル』『ガチャガチャの森』『#C-pla(シープラ)』の3大大手の店舗がほとんどでしたが、コロナ禍の2年間で、大小合わせて全国200店舗くらいは増えています。これまでのブームは商品が中心でしたが、現在のように店舗が話題になるのは今まで無かったことですね」
2021年にはバンダイナムコが約3000面(ガチャガチャマシン1台を1面と数える)という世界最大級の規模で展開する「ガシャポンのデパート」を池袋にオープンさせたことも話題となった。
店舗展開だけでなく、ガチャガチャの中に入っている商品を制作するメーカーも増えており、「現在は計100社ほどが手掛けています」とのこと。
「日本で流通しているガチャガチャの中で主流を占めているのはやはり人気アニメなどのキャラクターモノで、大人世代をターゲットにしたセーラームーンや鬼滅の刃などが代表的ですね。こうした人気コンテンツのキャラが全体の7~8割を占めていて業界のベースを支えています。ただ、こうしたキャラは版権もしっかりしているため、ほとんどバンダイさんやタカラトミーさんといった大手が手掛けています」
とはいえ、他の中小メーカーが苦戦しているかといえばそうではない。むしろ現在のガチャブームは中小メーカーの頑張りによるところも大きく、各社が工夫を凝らして制作するユニークなオリジナル商品が市場を盛り上げているというわけだ。