今や日本人の80%以上が利用しているとも言われるSNS。特に若年層にとってはもはや生活の一部となっている。恋人へのノロケ話や、バイト先についての愚痴、社会問題への意見……。リアルの人間関係を円滑にしたり、自分の心のバランスをとったりするために必要不可欠、という人もいるだろう。
しかし人々がSNSに慣れすぎてしまった弊害も出ている。今年1月には回転寿司店での迷惑行為が社会問題化するなど、SNSへの投稿のリスクが増大しているのだ。
そんな“1億総SNS時代”の就職活動において、企業側が採用候補者の素顔を知るために活用し始めているのもまたSNSだ。特に注目されているのはいわゆる“裏アカ”。本名を明かしている“本アカ”とは違い、裏アカでは名前や属性を隠し、親しい友人たちにだけ公開するなどクローズドな使い方をされることが多い。
だからこそ「ユーザーの“本性”が表れているはずだ」と考える企業側にとって、裏アカチェックは採用活動の重要ポイントになりつつあるのだ。
企業は裏アカ特定に何を求め、候補者の何を見ているのか。実際に裏アカウント特定サービス「Sトク」を提供する「企業調査センター」(千代田区)で、SNS調査を担当する久保田美保さんに話を聞いた。
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最終面接の前に「SNSを調査」が増加中
――新卒就活が盛んになる時期ですが、お忙しいんじゃないですか。
久保田 そうですね、“回転寿司テロ”の影響もあって、ここ数カ月でもかなり依頼が増えてきました。私は1日に平均で30件程度の調査を行なっているんですが、新卒採用のピークを迎える5月頃には、1日あたり100件ぐらいの作業量になりそうな予測です。
――年間だと何件ぐらいの依頼があるんですか?
久保田 会社全体で約6000件です。新卒採用から中途採用、いま働いている社員の素行調査まで、色んなニーズがあります。採用活動での依頼だと、最終面接の前に調査を挟んで判断材料に加えたいという要望が多いですね。
――個人のSNSはそんなにすぐに見つかるものなのですか? 同姓同名も多いですし、名前をローマ字表記にしているだけでも特定が難しそうですが……。
久保田 まずは本名で検索をかけますが、一発で見つかることは少ないです。ただ、私達は企業から履歴書などの選考書類を預かっているので、その人のプライベートな情報まで事細かに把握することができます。そこから色んな推測が立てられるんですよ。