戸川 向こうが蹴っ飛ばしてきてますからね。大事なのはね、パイプ椅子は投げちゃいけないんですよ。投げつけたあと、パイプ椅子が相手の武器になっちゃいますから。新宿の中学校なんかに通ってた過去があると、全然ケンカと縁のないいじめられっ子でも、そんな知識はみんな持ってるわけですよ。まぁ、そうやって反撃してたら、「あいつ、普通に怒るぞ」という話が広まって、「戸川純がなんぼのもんじゃい!」と蹴飛ばされなくなりました。
山口 舐められる問題を解決したわけですね。
戸川 そうです! だから「暴力で解決!」と言いたいところだけど……、やっぱりケンカはダメだよ(笑)。私はなんとかそうやって解決したけど、暴力はいけないことだよ。私の場合、相手が弱かったんでしょう。
山口 積極的にその方法を選ぶべきかっていうと、まぁ……。反撃も怖いですし。
戸川 危ないからね。だから現実味のないお答えです。なので、代わりに武道を習いましょう! 実践はしないとしても、毅然としたムードが身につきますよ。私それ、見たもん。中学時代、いかにもいじめられそうな雰囲気だった男の子たちが、気づけばいつの間にかムードが変わってたの。
あるとき、その男の子たちが、柔道か空手の道着を黒帯で巻いて背負ってたのね。「えーっ!? なんか習ってるの? 黒帯じゃない!」って聞いたら、「なんでもない」って笑ってごまかすの。でも、その子が来た方向を見ると、建物に「極真空手」って書いてあったの。
山口 おぉ、極真ですか。
戸川 私が推察するにですよ? その道場では、極真空手を習っているからといって「えっへん! 俺、強いぞ~!」みたいにしちゃいけないと指導して、肉体だけではなく精神も教えてたんじゃないでしょうか。「俺、極真習ってるんだぞ~」とか言わないのもまた強さなんじゃないかなって思いましたね。
だから25歳女性、これから武道を始めてみるのはいかがですか? 私も合気道の段を取る頃には、もういじめてくる人はいませんでした。武道によって精神が鍛えられるというか、ムードも鍛えられるというか。やっぱり雰囲気、変わりますよ。どうよ! この健全な答え!
山口 暴力で解決しましょう、ではない(笑)。
「まわりの環境を変えるしかないですよ」
戸川 さっきの「暴力です」っていうのは、あれは枕に話したということで(笑)。でも「私、武道とかはイヤ……」って感じるかもしれませんよね。そういう場合はもう、まわりの環境を変えるしかないですよ。
山口 自分を舐めてくる人は避けていいと思うんですよね。
戸川 そういうイヤな人たちがまわりにいるのが当たり前っていうのはねぇ。
山口 がんばって環境を変える。もしくは、武道を習う。「武道で精神と護身術を鍛える」のほうが、お答えとしてはちょっとかっこ良いかもしれないですけどね(笑)。