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ドアが閉まらない、排水口からドブのような臭い…住人が語る、築50年「ヴィンテージマンション」暮らしのリアル

2023/04/06

「今どき珍しいガスストーブの残骸が床に残されているのも、古さを感じますね。内見のときに、不動産屋さんが『これは床下収納ですね』と言いながら開けてくれたのですが、そこにはガスストーブを接続するための元栓が入っていました。かなり老朽化しているので絶対に使用しないでくれ、と念を押されています」

使用不可のガスストーブの元栓
「古さと関係があるのか不明ですが、とにかく壁にコンセントタップがたくさんあります。目線の高さにあるタップはどうやって使うのか、いまだにわからないです」(桃木さん)

 また、入居前からわかっていたことだが、マンションには光回線が通っておらず、工事もできない仕様になっているという。 

「この点は、最後まで悩みました。今どきそんなマンションがあるのか、と築50年の実力を感じましたね……。いまのところポケットWi-Fiを使ってネットをつないでいますが、それほど不便は感じていません。なんとかなるものですね」

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「入浴時はサーモスタット付きのカランで湯船にお湯を溜めます。今まで銭湯とか温泉の大浴場とかでしか見たことがなかったのですが、家庭用もあるんですね」(桃木さん)

 そのほかにも、壁に神棚があったり、クローゼットの中が押入れ仕様の二段になっていたりと、部屋の端々に歴史と渋さを感じる作りになっている。

「元々和室だった部屋を床張りにしたらしく、天井には床の間?の一部のような仕様が残っています」(桃木さん)

古さを活かしつつ、落ち着く空間にアップデートしていきたい

 短い間にトラブルは続いたものの「生活は気に入っている」と、桃木さんは話す。

「大きい窓から東京タワーが見えるし、駅チカだし、とにかく広い。今回の引っ越しで何軒か内見をしましたが、予算オーバーの物件でもこれほど広い部屋はありませんでした。これから5年は住む予定なので、今後はヴィンテージマンションの古さを活かしつつ、落ち着く空間にアップデートしていきたいです」

 桃木さんのシティライフははじまったばかりだ。

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