1ページ目から読む
2/4ページ目

 なかなか恋が始まらない瀬名と南に、瀬名の片想いの相手である後輩・奥沢涼子(松たか子さん)、ワイルドイケメンな南の弟・葉山真二(竹野内豊さん)らも恋愛模様に絡んでくる展開がファンを魅了し、木村さんの恋愛ドラマの代表作と言っても過言ではないでしょう。

 最終話のラスト、瀬名と南が「みなみー!」「せなー!」とお互いの名を叫び、強く抱きしめ合っての連続キスも名シーンですが、それ以上に有名なのではと思うのが第1話のあるシーン。

 瀬名と南がマンション3階の窓からスーパーボールを落として、道路で跳ね返って戻ってきたボールを見事キャッチしてキャッキャッとはしゃぐ。この何気ないシーンが、まだ恋が始まっていない2人の絶妙な距離感を表現した珠玉のキュンポイントとして、ファンの間で今なお語り草になっているのです。

ADVERTISEMENT

痛々しく情けないキムタクが新鮮

 また木村さんと言えば、作品ごとに職業や性格は変わっても“スーパーイケメン”ばかり演じている印象が強いでしょうが、情けないキムタクを見られるのも『ロンバケ』の醍醐味。

©文藝春秋

 ピアニストとして壁にぶちあたってうじうじしている姿はもちろんですが、恋愛面でも非イケメンっぷりを披露。なかでも涼子が真二に惚れてしまい、ずっと好きだった女をいきなり現れた肉食系男子にあっさり奪われてしまうという痛々しいキムタクは、いま観るととても新鮮です。

 ちなみに、個人的には瀬名と真二の奇妙な友情がお気に入り。涼子をめぐってゴリゴリに遺恨があってもおかしくない2人ですが、物語後半ではルームシェア。瀬名は涼子を取られたことに妬みや恨みはなさそうで、冗談も言い合うようになっていく。暑苦しい親友アピールなどはなく、いい意味でドライな関係性で、なんて尊い友情なんだと思っていました。