ほかにも、ライフスタイルが大きく違う国の出身の外国人とは、揉めることがあるという。
「国によって文化が違うので仕方ないですが、部屋で土足で生活しているケースがあります。備え付けのカーペット絨毯は砂だらけで、雨の日だと泥までそのまんま。何をしたらそうなるのかわかりませんが、壁紙全体が剥がれているケースも多いです」
部屋の劣化具合だけでなく、日本との賃貸制度の違いによってトラブルに発展する事例もあるそうだ。賃貸を出るときの修繕費がすべてオーナー負担で、住人が支払うことのない国もあり、そういった国の出身者は退去時に「なぜ私が払うのか」と訴えてくることも多いのだとか。
修繕費で揉め、「鍵」を人質に取られたことも
ごまかそうとしたり、反論してくるだけなら、まだマシなほうなのかもしれない。北村さんがこれまでもっとも手こずったのは、住人が鍵を「人質」にしてきたケースだという。
「壁に傷がポツポツあったり、お風呂に水垢が溜まっていたりと、汚し具合は中程度だったのですが、問題はその住人の態度。
長年溜まった水垢はハウスクリーニングでは落ちないレベルで、専門業者を呼ぶ必要があるから費用がかさむと説明したのですが、『それくらい、ハウスクリーニングの人が根性入れればなんとかなるでしょ!』とブチギレ。仕方ないので、私が持参していた掃除用具を貸して、『なら、これで落とせるか試してみてください』と言ったんですが、まったく汚れは落ちていませんでした」
さすがに納得してもらえるか……と思ったのもつかの間、その住人は別角度から北村さんを困らせはじめた。
「彼女には入居時に3本の鍵が渡されていたのですが、『1本しかない』というんです。その場合、鍵代を払って残った1本は速やかに返却してもらいたいのですが、『1本なくそうが、3本なくそうが、払う金額は一緒なんでしょ。なら、返さない! 今から失くす!』と逆上しちゃって。
たしかに、鍵はセット購入するものなので、料金は変わらないんですよね。たぶん、最初の水垢についての説明が気に食わなくて、私を困らせようとしている面もあったんだと思います」
話にならないと踏んだ北村さんは、管理会社を通して説得を試みてもらったものの、そちらもお手上げ。終いにはその住人が「警察を呼ぶ!」と面倒なことを叫び始めたので、仕方なしに水垢代を値引き、鍵代だけは払ってもらうことでその場はおさめたそうだ。