1ページ目から読む
4/4ページ目

検察官に殺害予告を送る“熱狂的な支持者”

 口止め料の支払いが7年近く前に行われたことを考えると、トランプ側の弁護団は口止め料に関連する犯罪で起訴される筋合いはないと主張する可能性があるという。

「ですから検察側はトランプがニューヨーク州にいなかった期間について主張しているんです。州外で継続的に生活している場合、その時間は(時効期間に)算入されません。ただ、問題はホワイトハウスに住むために出て行った場合に適用されるかどうかです」

 こうした法の解釈が争点となってくる可能性があり、有罪になるかどうかは今のところ不透明だ。

ADVERTISEMENT

 トランプ氏の起訴をめぐり、アメリカ国内では検察を支持する見方から反対派まで様々な意見が散見される。ベイダー教授は続ける。

「今、アメリカは非常に偏った国家になっています。トランプの熱狂的な支持者は、今回の事件は“魔女狩り”だと感じています。彼の言葉を信じて迫害されていると感じ、検察官にまで殺害予告を送っている人たちもいます。

 そしてその一方で、歓声を上げ、トランプ氏出廷の日を自分の結婚式の日に例えるなど、喜びを感じている人たちもいます。2つの両極端な側面があり、これが(大統領選に)どのように展開するかはまだわからないと思います」

©getty

トランプ氏は大統領として再起するのか?

 実際に熱狂的なトランプ支持者の中では、今回の事件を“陰謀”だと唱える人も出てきている。

 トランプ支持者とみられるTwitterアカウントには、トランプ氏の起訴は“Fake news”(フェイクニュース)だという発言が飛び交い、「フェイクニュースのメディアが嘘を作り出している」などという内容も見受けられる。

 CNNが発表した世論調査結果 によると、全体の約3割を占める共和党支持者のうち、トランプ氏の起訴に「政治的な動機」があると考える人は93%にのぼるという。

 ベイダー教授によると、米国の憲法は、犯罪に問われている人や有罪判決を受けた人に対する大統領選挙出馬の制限を定めていないという。このため、米国生まれの35歳以上であり国内に14年以上居住していれば、大統領選への立候補は可能だ。

 つまりトランプ氏が出馬し、大統領として再起を果たすことも事実上起こりえるのだ。

 政治的分断・二極化が進むアメリカ。2024年の大統領選挙を前に、トランプ氏の起訴により、さらに混迷を極める一方だ。