選手と密に接すればするほど“ファン感情”はなくなるけど……
「若い選手やリハビリ中の選手へのきっかけにしてほしい」と球団から依頼をいただき、2022年春季キャンプからピラティスの講師としてタイガースに関わらせてもらうことになった。この年は高知県安芸市の2軍キャンプに1クール帯同。選手は2日に1回ピラティスを受講するシステムだったが、中には「今日も入っていいですか?」と連日参加してくれる選手もいた。当時ルーキーだった森木大智投手は、ピラティスを受けた翌日に「ブルペンに入ったんですけど、いつもより胸郭の動きが良かったです!」と報告してくれた。
シーズン中も個人的にピラティスを導入する選手がいたり、岩崎優投手などは自主トレでレッスンをさせてもらったりした。選手の一番の商売道具である身体をみさせてもらうようになると、試合で気になるのももちろん選手の身体の使い方や動作である。身体をみる仕事をする立場としていいコンディションで身体の不安なくプレーしたり、リハビリから復帰する姿なんかはとても嬉しい(ピラティスに関係なく)。
こうなってくると、もう“ファン”という概念はすっかりなくなったと言っていい。もちろんタイガースのことは好きで、応援もしているし、勝ったら嬉しい。
そんな私に今春キャンプの朝ピラティス後、原口文仁選手が声をかけてくれた。
「もうファミリーですね! ビールかけ参加ですね!」
一気にファンになった。いや、ファンに戻った。グッズを持っていなくてもユニホームを着用していなくても、私は間違いなく【ある分野・団体・個人をひいきにする人】、【持続的にブランドに関与する意思を持つ顧客】である。昨夜も甲子園のチケットを取っていた。球団職員も公認の雨女は、今季初の聖地での伝統の一戦に縁がなかった。それでも日中は鳴尾浜の試合をネット中継で追った。
私はやっぱり、阪神ファンだ。
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