超高齢化社会の加速が止まらない。近年課題として挙げられるのは、高齢者の免許返納問題。実際に車を運転する高齢者当人にも、その家族にとっても、何が正解なのか判断が難しい問題だろう。
ここでは、バンギャル(ヴィジュアル系バンドのファン)のライター・藤谷千明さんと漫画家・蟹めんまさんがオタクならではの視点から老後に向き合った『バンギャルちゃんの老後 オタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた』(ホーム社)から一部を抜粋。
NPO法人高齢者安全運転支援研究会の並木靖幸さんに、高齢運転手の実態について聞いてみた——。(全2回の2回目/前回を読む)
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高齢者“だから”危険な運転をする?
並木靖幸(以下、並木) まず皆さんに質問があります。「高齢者の運転は危ない」って思います?
藤谷 そうですね。近年の事故報道などを見るかぎり「危ないのでは」と心配してしまいます。
蟹 本人の怪我も怖いですが、人生の終盤に加害者側になるのもつらすぎます。
並木 では具体的に、ご家族、ご親戚の運転の「何が危ないか、どこが危ないか」は説明できますか?
藤谷 ……ぐ、具体的に挙げるとするとパッとは出てこないですね。
並木 大前提として、危ない運転をする人は免許を持ち続けてはいけない。けれど、年齢だけで危ないとは言いきれないんです。図1のグラフを見てください。ほら、若い人もすごく多いんです。なのに「若者は免許を返納しましょう」とはならないでしょう。
蟹 言われてみたら、それはたしかに。
並木 「高齢者の運転は危険」という先入観が蔓延しているんです。超高齢社会となって、高齢者で免許を持っている人口も増えていますが、多くの高齢者は普通に運転しています。だからこそ、もう少しフラットな目線で高齢者の運転を考えてもらわないと、高齢者の方も納得しないですよね。
蟹自分も15歳くらいのときに、親から「危ないからライブに行くな」と言われ、「危ないって言うなら一度現場を見て何が危ないのかちゃんと説明してくれ!」って思っていたのに、大人になって、あのやるせなさを忘れていました……。
現在の免許制度と高齢ドライバー
藤谷 では、そもそも現在の免許制度では「危ない運転」をする人を見つけるためにどのような制度があるのでしょうか?