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高齢ドライバーとどう向き合う?

藤谷 自分で返納を判断するのが理想的ということですが、どうやって自主返納の話を切り出せばいいのでしょうか。

並木 今の高齢者は高度経済成長を支え、車社会の発展とともに生きてきた人たちです。そういう人たちは「免許を取って車を持つこと」自体にすごく思い入れがあるんです。ある事例では、返納までに7年かかった方がいました。ずっと家族と免許について揉めていたんだけど、最後はご本人が物損事故を起こしたことがきっかけで、自主返納したそうです。

 7年! やっぱり時間がかかりますね~。

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並木 ご家族のお迎えに行ったり、あるいは行楽に出かけたりと、ドライバーにとって車や免許には思い出や家族を支えてきた自負が詰まっていることが多いんですよ。これまでのことがまるでなかったかのように、家族から「迷惑だから運転をやめて」と言われれば、ケンカになるのは当たり前です。女性は、公共交通機関が充実しているとかで生活に困らないならば返納しようと合理的に判断する傾向にあるのですが、男性の場合、合理性だけではなかなか返納に至らないことも多いそうです。

藤谷 プライドがあるのでしょうね。

親との密なコミュニケーションが大事になってくる

並木 切り出し方として、これまでの感謝を表しつつ「最近、身体の調子はどうなの?」といたわる気持ちを糸口にするのがいいでしょう。そこでもし気になることがあるなら、安全に運転を続ける解決策を一緒に考えてみましょう。

 いたわりの気持ちから入れば、ケンカにならなさそうですね。

並木 あるいは、通勤通学の時間帯はどうしても自転車や歩行者が増えるから、運転を避けるとか。病院に行くなら、駐車場が空いている時間帯に行くとか。いろいろな工夫が考えられます。もし持病があるなら、それに合わせた提案をするのがいいですね。白内障があるなら、太陽や夜間のヘッドライトが眩しい時間帯は運転を避けるとか。

 ほかにも、ドライブレコーダーの取り付けもすすめてみましょう。客観的な事実をとらえるものですから。記録された映像を一緒に見て「ちょっと危なかったね。このときはどうしたの?」と問いかけていくと、ご本人もだんだん「危なくなってきたな」って自覚が出てくる。そこでやっと「家族もサポートしていくから、返納を考えてみようか」という話ができるのではないでしょうか。

藤谷 親との密なコミュニケーションが大事になってくるんですね。う~ん、実は私はそれがちょっと苦手で……。離れて暮らしている親とは仲が悪いわけではないものの、頻繁に連絡をとったりはしてないんですよね。そんな場合、何から始めたらいいでしょうか。