ロンドンで暮らすようになってからも、夫と娘と自分とそれぞれの生活のペースを思いやりながら音楽生活を継続し、50歳の節目にあたり自身の原点に立ち返って松任谷由実の楽曲をカバーした『Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-』(2013年)をはじめ、『Colour』(2015年)、『Sky』(2018年)と3枚のアルバムをリリースしてきた。布袋はすでに渡英前の2006年に今井のプロデュースから一旦離れたが、楽曲はその後も提供し続けている。
今井は昨年のインタビューで、《これから私も60代を迎える時が来るので、60代という世代の役割はなんなのかなと、自分の役割を考えたい。これからの世代を生きるひとりの人として、どんなふうに世の中にほんの少しでも役に立てるか、探していきたいですね》と語っていた(「婦人公論.jp」2022年8月18日配信)。
娘が20歳に、子育てもひと段落
先述のとおり近年はコンサートを中心に活動している今井だが、ここ数年はコロナ禍のため各地をまわるツアーはできなかった。しかし、その状況も緩和されつつある。娘も昨年、20歳となり、子育てもひと段落ついたところだろう。新たなアルバムのリリースも期待される。
ただ、今後の歌手活動について、先のインタビューでは、これまで積み重ねてきたことへの感謝の思いから《「今度は、私があなたのために何かできたらいいな」って。今はそんな段階にいる気がするんですよね、とくにこの先の人生においては。それが私にとって、歌を歌うことだったら、歌を一生懸命やっていかなきゃいけないと思いますし、それ以外のことになるかもしれませんし、まだ答えは出ていません》と、ちょっと気になる発言もしている。
思えば、今井は若いころから常に自分らしさとは何かと考え、そのたびに答えを見つけては新たな扉を開き続けてきた。60歳を迎え、いま再びその段階にあるのだろう。年を重ねて、なお生き生きとしているのも、そのあたりに理由があるのかもしれない。