〈あらすじ〉

 2001年、イランの聖地マシュハドは、連続殺人事件に震撼していた。しかし、「街を浄化する」という犯行声明のもと、娼婦だけを狙う犯人の“スパイダー・キラー”を、一部の人々が英雄視する空気もあった。

 女性ジャーナリストのラヒミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)は、テヘランから現地入りして事件を調べ始める。警察が犯人逮捕の糸口すら掴めない中で、被害者の母親から、バイクに乗った怪しい男(メフディ・バジェスタニ)の存在を明かされたラヒミは、危険な作戦を実行する。

〈解説〉

『ボーダー 二つの世界』のアリ・アッバシ監督が、実際に起きた事件を基に、イラン社会を映し出すクライム・サスペンス。第75回カンヌ国際映画祭女優賞受賞。118分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆娼婦殺しの男とセクハラ被害にあった女性ジャーナリストという設定で話に厚みあり。感心するものの気味悪さが残る。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆スリラーとしては大雑把だが、謎解きや犯人探しが眼目ではない。妙に脂っこい感触の画面が、理不尽な歪みを映し出す。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆街娼をヒジャーブで絞め殺す場面が恐ろしい。殺人鬼を英雄と称える光景もあり女性蔑視が尋常じゃない。実話とは!

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆絞殺魔の身勝手な正義と奇妙に同期する社会の歪み。9.11のニュース音声も含め設計思想の卓越が醸す戦慄。満点に近い。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆イランの社会的背景に生まれた闇。正義と狂気、ミソジニー、ヒジャブ、バイク、コーラン。それらを纏い引き摺り込む。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
© Profile Pictures/One Two Films

INFORMATION

『聖地には蜘蛛が巣を張る』(デンマーク、独、スウェーデン、仏)
4月14日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
https://gaga.ne.jp/seichikumo/