イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 先月、都内で開催された「チャレンジふくしまフォーラム」に参加。福島県への「教育旅行」に実際に参加した高校・企業によるトークセッションもあったのだけど、参加校からの報告に衝撃を受けたわ。

 従来から福島県は、恵まれた自然や、会津の歴史・伝統文化の強みを生かして、教育旅行が盛んだった。今は「ふくしまでしか学べない」震災学習がメイン。住民らとの交流、現地の視察、復興を考えるワークショップを重視した、「見る・聞く・考える」体験型学習が特色。

 報告によると、ツアーを体験して、生徒たちがガラッと変化したそう。「大人しかった生徒が、福島に来て心を動かされアクティブになった」とは先生の弁。生徒からは「福島復興の傍観者になるのではなく、関係者になりたい」「福島で見た・聞いたこと、学んだことは自分の中で生き続ける、財産になる」「自分が一体どんな人間になりたいか。何を成し遂げたいのかを考えるようになった」などの感想が。

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 スマホの画面から得られるのは単なる情報にすぎない。現地を訪れたことで、当事者意識が芽生え、自分の問題として捉えたのね。参加校の生徒の文集には、「福島のことをとても真剣に考えていた」「かっこいい」「彼らは何歩も先にいると感じた」など現地の高校生に触発された様子も。熊本地震の被災地から来た高校生の「逆境の中で一生懸命な人の姿に希望を感じた」との言葉も印象的でした。

 原発被災という、未曽有の状況下の“復興”とはなんなのか。答えが一つではない問題について考える体験が、批判的思考力、判断力、表現力を鍛え、洞察力や創造力を高める。新しい時代の学力観とも重なるわ。

 十八歳選挙がスタートして、いかに主権者としての個を育むかが今、高校の課題。福島に足を運んで“ふくしまの希望”に学びたいわね。