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 組織では、中間管理職はいかに部下をさりげなくほめて、モチベーションを上げられるかが問われる時代です。正当に評価し、ダメなところは注意するというこれまでのやり方では、相手に真意が伝わらなくなっているのです。

 お世辞がうまければいいのか? と思う人もいるかもしれません。そうではありません。ヘタなお世辞は、すぐに本心ではないことがバレてしまいます。ただのお世辞だと思われてしまえば、「この人は自分のことを何もわかってない。口先だけの人だ」と決めつけられてしまいます。

 ほめたくても、どうほめていいかがわからない、ほめるところが見当たらない。

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 そんなふうに思う人、思うケースもあるはずです。

 そこで求められるのが、技術です。ほめるにも鍛練が必要です。

できない子に対しても何かしらをほめる

 私は四十年近く教育学に携わってきました。

 教育学の肝はまさに、「ほめ方」にあります。

 クラスに四十人児童がいれば、算数のできる子もできない子もいます。できる子はほめ、できない子はほめないでいいのかといえば、そうではありません。

 できない子に対しても、何かしらほめられるところを見つけ、ほめる。

 それが教師の役割です。

 今の社会においては、教師に限らず誰もがこうした素養を身につけなければならないのです。

意志をもって、ほめどころを探す

 人をほめるときにまず必要なのは、ほめどころを探そうという「意志」です。

 次に大切なのは、どこをほめればいいかを見つける「観察力」です。相手を常日頃からよく観察して、変化があったら見逃さない。そこがスタート地点です。

 その人を他の人とはくらべず、個人としての変化や成長という視点で考えるのがいいでしょう。

 クラスやグループで一番ではなくても、個人としての成績が上がっているならほめる。

「先週にくらべてレポートのまとめ方がすっきりしたね」「見出しの付け方がうまくなったよ」などと、「一部分」をほめればいいのです。人をよく観察していれば、何かしら変化は見つけられるものです。