昨年の1月にA子さんが受け取ったLINEのメッセージには〈自分のマンションから飛び降りようと考えてるけど死ぬのがものすごく怖くてまた市販薬キメちゃった〉と書かれている。
A子さんは〈また会いたいから生きててほしい〉と返信するなど、Yさんの悩みを聞いて寄り添ってきたという。A子さんは続ける。
「自分の顔が嫌だ」オーバードーズやリストカット
「高校はしんどかったみたいです。『今日は学校に行けなかった』とかLINEで報告があったりもしました。Yちゃんはかわいいのに『自分の顔が嫌だ』とか……。薬のオーバードーズやリストカットをしていたことも教えてくれました」
A子さんは3月、松戸市のYさん宅を訪れたことがあるという。2人が実際に会うのは初めてだった。この時の様子についてA子さんが語る。
「松戸駅で待ち合わせて、『会いたかったよ』って言ってて嬉しそうにしていました。Yちゃんがホワイトシチューが好きだから一緒に買い出しにいって家で作ったり、カラオケに行ったりもしました。お互いが好きなバンドの聖地巡礼で、千葉県内のPVロケ地にも行きました」
快活な一面も持っていたYさんだが、彼女の部屋の中には気がかりな物もあったという。A子さんが続ける。
「Yちゃんの部屋に市販薬の空瓶が10本以上入っている紙袋が置いてありました。『私がこれだけ(薬を)飲んだ』『苦しんだ証を残しているんだ』って言ってましたね。今思えば、自殺したあとに何かを知ってほしかったのかもしれません……」
YさんのTwitterにはオーバードーズをにおわせる投稿も複数見受けられる。
「LINEか何かで話したときに『絶対に自殺できる方法が分かった』って言ってて、その方法が『薬と酒飲んで飛び降りる』っていうものでした」(同前)
実際にYさんが飛び降りる数時間前に投稿したとみられる写真には、アルコール度数の高いチューハイの缶が数本、そしてその横には咳止めに使われる薬や抗不安薬など、錠剤の空パッケージが複数、無造作に置かれていた。
酒や薬剤が並んだ〈最後の晩餐〉
Yさんと一緒に飛び降りた新潟県の女子高生Xさんも、〈最後の晩餐〉などと、自殺する前の様子を投稿している。
ネットで出会った女子高生2人が一緒に自殺するという衝撃的な事件。だが、XさんとYさんのような自殺を選ぶZ世代が増えているのが現状だ。
厚生労働省と警察庁の発表によると、全国で昨年1年間に自殺した小中高生は514人で過去最多となり、小学生は17人、中学生が143人、高校生が最も多く、354人だった。
また、若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いのが現実だ。
今、若い世代の心のケアがより一層求められている。
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【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)
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